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(15日、高校野球大阪大会 大阪桐蔭7-3東淀川)

 「絶対キャプテンまでまわせ!」。ベンチから聞こえる仲間たちの声に、次打者席にいた東淀川の主将、竹村幸四朗君(3年)の目が思わず潤んだ。4点を追う九回表2死。あと1死で負けが決まる。仲間の思いがうれしかった。打席の泉夏葵君(2年)が遊撃強襲安打で塁に出た。竹村君は涙をぬぐい、最後の打席に向かった。

 中学では陸上部。小3で軟式野球を始めたが、小柄な体がコンプレックスだった。そこで陸上部で体を作ることにした。1年から2年にかけては100メートルで下半身を、2年の後半から引退までは円盤投げや砲丸投げで上半身を鍛えた。足腰や肩周りに安定感が出てきて、手応えを感じた。

 この日の試合でも、足腰の強さが生きた。六回裏の2死二塁。遊撃手の竹村君の右側に安打性の打球が飛んできた。大きく踏み込んで捕球すると、バランスを崩しかけたが、ぐっと足で踏ん張り送球。アウトに仕留めた。

 最終打席に向かうとき、竹村君はスタンドを見上げた。昨年甲子園春夏連覇を果たした大阪桐蔭目当てに立ち見客が出るほどの人が訪れていた。だが、先取点を奪ったのは東淀川だった。中盤まで互角に戦い、迎えた最終回だった。

 一球一球、バットに振動が伝わるほどの声援があがる。5球目。止めたバットに当たった球が投手の前に転がる。「まだだ」。全速力で走り、一塁に頭から飛び込んだ。アウトだった。

 強豪相手に、九回まで試合をやりきった。それが何よりもうれしくて、誇らしかった。竹村君は試合後「高校最後の試合が、今までで一番楽しくて、最高の試合になった」と笑った。(山田健悟)