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(15日、高校野球群馬大会 前橋商4-3高崎商)

 「お前なら、大丈夫」

 同点の延長十一回裏、高崎商のエース左腕、橋本稜太(3年)はマウンド上で原田翔太(2年)にボールを託し、声をかけた。橋本は体力の限界だった。1死一、三塁のピンチを招いたところで、堤悠輝監督は原田に交代させた。

 だが原田は次打者に四球を与え、満塁。続く相手の4番打者にスライダーを左越えに運ばれた。サヨナラ負け。昨夏4強の高崎商には短すぎる夏が終わった。

 夏の甲子園出場11回の高崎商と、5回の前橋商。伝統校同士の対決に注目が集まった。内野席は観客で埋まり、両校の応援団は芝生の外野席にまで広がった。大声援が球場を覆った。

 橋本は大間々との初戦で1失点完投。堤監督は相手に情報が少ない篠原一徹(3年)を先発させ、1点リードされ打者が一巡した二回途中から橋本を登板させた。橋本は「流れを持ってこよう」とマウンドへ。直球で厳しいコースをつき、変化球でタイミングを外し、三回には三者連続三振を奪った。

 一方の前橋商の先発は、エース井上温大(はると)(3年)。140キロ超の直球が武器のプロ注目の左腕だ。高崎商は前橋商との対戦が決まると、打撃マシンの球速を145キロに設定。速球に目を慣らした。そのかいあって1点を追う三回には敵失にも乗じ、適時打で同点。四回には重盗で勝ち越した。

 その後も伝統校対決にふさわしい一進一退の攻防が続く。橋本が六回に3長短打や犠飛などで2点を失えば、味方はすかさず七回、適時打で同点に。橋本は走者を出しても粘り強く投げ続けた。

 井上との投げ合いを演じた橋本だったが、体力は徐々に削られた。九回から足がつり、思うような球が投げられなくなっていた。橋本は「最後まで粘れなかった」と悔やんだ。

 堤監督は「もっと点数が入ってもおかしくない展開だった。橋本の集中力でいい試合ができた」と話す。サヨナラ打を浴びた原田は雪辱を誓う。「チームを勝たせられる投手になりたい」。託されたボールは来年に続く。(森岡航平)