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 第101回全国高校野球選手権佐賀大会(朝日新聞社、佐賀県高野連主催)は15、16日、佐賀市のみどりの森県営球場で計6試合があった。8強が出そろい、シードで残ったのは第4シードの北陵、第5シードの東明館と激戦模様だ。17日は準々決勝2試合がある。

 15日の神埼清明と第2シードの佐賀学園との試合は、神埼清明が九回の土壇場で追いつくと互いに譲らず、大会初の延長十三回タイブレークとなった。神埼清明はこの回、満塁から相手の失策で貴重な勝ち越し点を奪うと、その後も加点し一気に7得点。佐賀学園は序盤に先制し、同点に追いつかれた後も粘ったが、最後に崩れた。

 東明館と有田工の一戦も、東明館が九回に追いつき延長戦に。そして延長十一回、東明館の先頭打者、4番・寺崎が右中間に劇的なサヨナラ本塁打を放った。有田工は馬場が149球の力投を見せ、第5シード相手に互角に戦った。

 16日の伊万里農林―佐賀工戦は、1点をリードされた伊万里農林が八回、村上の右越え適時三塁打で同点に追いつくと、続く山口の右前適時打で勝ち越し、逆転勝ちした。安打数は伊万里農林が4安打、佐賀工は6安打。佐賀工は11残塁と好機を生かせなかった。

 初戦で第3シードの鹿島を下し勢いに乗る佐賀北は、龍谷を破った。佐賀北は三回に2番・久保の2ランスクイズで先制。終盤にも追加点を奪った。龍谷は5投手で継投したが、抑えきれなかった。

フルスイング 最後まで 佐賀工・内川晴貴君

 逆転された直後の九回表、佐賀工の攻撃。2死一、二塁で内川晴貴君(3年)に打順が回ってきた。まだ1点差。4番が打てば同点、逆転のチャンスだ。

 狙い球は直球。3球目をフルスイングした。後方へのファウル。次も力いっぱい振った。大きな飛球がレフト線へ。切れてファウル。球場がどよめく。外のボールを見極めた後の6球目。来た、直球!

 チーム一の素振りの数で一目置かれる存在。毎朝、誰よりも早くグラウンドに来て素振りを始める。放課後の練習後も、1人で素振りを続けた。その数500回。昨秋の県大会で4番を任されたが、プレッシャーで打てなかったと悔やんでいたからだ。

 結果はすぐには出なかった。それでも毎日するうちに、仲間が増えた。鳥越大雅主将(同)だ。好機で打てずに悩んでいたときに、内川君の姿を見て加わった。素振りをしながら、互いにスイングのスピードや軌道などについて指摘し合った。「2人になってから質も上がった。精神的にも心強かった」と内川君。

 11日の初戦は5打数3安打4打点。本塁打も放った。2人は翌日も素振りも続けた。「絶対に優勝しような」と約束した。

 「いつもの素振りのように」。バットに全力を込め、振った。響いたのはボールを受けた捕手のミットの音。マウンドで伊万里農林の投手が両腕を突き上げる。「終わったんだな――」。内川君はバットを地面にたたきつけ、うなだれた。汗と、大粒の涙が垂れてきた。

 試合後、泣き崩れる内川君の肩を鳥越主将がたたいた。「晴貴で打てんかったんやから、仕方ない」。涙を拭う手、肩をたたく手、ともに豆だらけだった。(松岡大将)