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 16日から2回戦が始まった。第1シードの米子東が鳥取育英を、昨年の優勝校で第2シードの鳥取城北が米子を下し順当に勝ち上がった。米子松蔭は倉吉総合産との打撃戦を制し逆転勝ちした。前日の15日は1回戦2試合があり、八頭、鳥取工が勝ち進んだ。17日は2回戦3試合が予定されており、第3シードの鳥取商と第4シードの倉吉東が登場する。

選んだ道全力 悔いなし 米子・森田響主将

 5点差で迎えた五回裏2死一、二塁。米子は鳥取城北の強力打線相手に五回まで毎回出塁を許しながらも、1点ずつの失点で粘り続けてきた。ようやく迎えた反撃のチャンスの場面。「なんとかここで打ってやろう」。主将の森田響(3年)が打席へ向かった。

 直前のスクイズが失敗に終わり、流れの悪さも感じていた。狙い球は決めなかった。来た球に自分の全力のスイングをぶつける。それだけを考えた。2球目、低めにきた変化球を捉えた。伸びた打球の先に野手の姿は見えない。一気に二塁まで駆け抜けた。二塁走者がかえり1点を返した。

 1年夏からベンチに入るほどにセンスは良かった。だが、高校へ入学して最初に門をたたいたのは野球部ではなかった。中学野球を引退し、高校でも野球を続けると決めていた思いが揺らいだのは中学3年の11月。「やっぱ高校ではダンスやる」。周囲には反対されたが、ダンス部へ入ろうと米子へ進学を決めた。

 森田へ入部の声をかけ続けていた島谷智之監督もこれには拍子抜けだった。だが、違和感はすぐに感じたようだった。「なんか違う」。入学後、一度も見学にすら行かなかった野球部グラウンドへ足を運んだ。「野球部に入らせて下さい」。突然、朝練に顔を出した森田の姿を島谷監督は今でも鮮明に覚えている。

 昨夏に新チームが発足すると、主将という大役を託された。だが秋季・春季県大会は初戦敗退。公式戦での結果が振るわずチームを引っ張る難しさを痛感した。この日の対戦相手の鳥取城北は6月下旬の練習試合で0―21という大差で5回コールド負けした相手。抽選会後には「必ず初戦を突破して城北にリベンジしよう」と仲間と誓い合った。

 誓いはかなわなかった。正直、相手が自分たちより何枚も上手なことはわかっていた。それでも「イケイケな自分たちの力が出し切れた。すごい楽しい試合だった」と森田。涙は一度も見せなかった。「あのとき野球部に入って良かった」。それだけだった。(矢田文)