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 福岡大会は15、16日に計24試合があり、3回戦が終了。32強が出そろった。福岡大大濠は九回裏に2点差をひっくり返してサヨナラ勝ち。土壇場でシード校の意地を見せた。昨夏の南福岡大会8強で地力のある久留米商、好投手を擁する春日などが勝ち進んだ。一方、昨夏の北福岡代表の折尾愛真は涙をのんだ。北地区と南地区のチームが相まみえる熱戦は、19日に再開される。

台湾出身主砲 実力出せず 福岡第一・藍懐謙選手

 福岡第一の藍懐謙(らんかいけん)君(3年)は、台湾からの野球留学生。「最も勝負強い」と平松正宏監督から信頼され、4番を任せられた。

 一回裏1死一、二塁にチャンスが巡ってきた。「ランナーを進めようと思った」と、つなぐ打撃を意識した。4球目の変化球をとらえて内野安打にし、二塁走者が生還した。

 台湾北部の桃園市出身。テレビで見た日本のプロ野球に憧れ、小学5年で野球を始めた。その後の成長はめざましく、中学時代にU―15台湾代表に選ばれた経験が、日本のプロ野球選手になりたい夢を後押しした。中学の先生の薦めで、台湾からの野球留学生を多く受け入れる福岡第一を選び、チームメートだった陳昶亨(ちんちょうきょう)君とともに入部した。

 台湾出身でプロ野球巨人の陽岱鋼(ようだいかん)選手が輩出した同校で野球ができることも励みとなった。走攻守のすべてを磨くためには、日本語による指導を理解しなければならない。言葉の壁を乗り越えるところから始まった。寮に入り、時間を見つけては日本語を勉強した。

 今大会、同校はノーシードながら、各校から警戒される存在だった。だが、初戦は延長十一回で辛勝。藍君も無安打でこの日の実力校・久留米商との一戦を迎えた。第1打席で適時打を放ったが、その後は押さえ込まれた。各校からのマークが厳しかったのか、平松監督も「5割ぐらいの力しか出ていなかった」とかばった。

 「毎日休まず練習を重ねてきた。仲間との試合すべてが思い出に残っている」と、試合後に笑みを向けた藍君。かけがえのない経験を胸に、さらなる高みをめざすことだろう。(棚橋咲月)