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 平和への思いを詠んだ短歌コンクール「八月の歌」(朝日新聞社主催、岐阜県高山市共催、高山市教育委員会後援)の優秀賞10首と奨励賞45首が決まった。今年で11回目。一般の部に443首、中学・高校の部に1538首の合わせて1981首の応募があった。フランスで平和活動に取り組む歌人、美帆シボさんが選考した。表彰式は8月11日に高山市で開かれる。入賞作は次の通り。(敬称略、50音順)

 ◇優秀賞

 【一般の部】

「オトウサンハ モウオウマニハナレマセンガ…」知覧(ちらん)の遺書のあとは読めない(岐阜市)榎並千鶴子

出典は万葉集という令和 あらためて読む防人(さきもり)の歌(埼玉県入間市)忍足良夫

紛争で敵国となりし者同士ジョークを交わす日本語教室(津市)柘植欽也

助けたい命のビザを二千通 千畝(ちうね)のペンは今も光りて(宮城県蔵王町)中松伴子

軍鳩(ぐんきゅう)の慰霊碑前で遊ぶ子ら鳩も戦(いくさ)に出た時代あり(千葉県柏市)福川敏機

 【中学・高校の部】

糸満の空を見上げる七千本 向日葵(ひまわり)静かに犠牲者偲(しの)ぶ(名古屋市・名古屋高2年)久保木慧

亡き友の衣類重ね着て耐え抜いた帰還兵の口数少なし(北海道江別市・立命館慶祥中1年)小松さくら

シリアから来た難民の青年は被爆ピアノで平和奏でる(名古屋市・金城学院高3年)中村桃子

原爆への思い語りて去る背中 昨年よりも小さくなりぬ(岐阜県・高山市立荘川中3年)水尻心

願おうよ怖い戦(いくさ)の命令も号令もない令和の世界(仙台市立吉成中2年)横溝惺哉

 ◇奨励賞

 【一般の部】

折り終えた笑顔見たくて今日もまた広島講座にはせ参じる(ブエノスアイレス)相川知子

帰還兵の語りし「振武寮(しんぶりょう)」の実態をスマホにて知る令和元年(岐阜県高山市)宇田恵美子

松根油得る乱伐の山村を台風襲ひ湖と化す(神奈川県秦野市)浦上昭一

原始には山河になかりし境引き益言ひつのる“くに”とはなにぞ(岐阜県高山市)桐山吾朗

打ち上げの花火の音に泣き叫ぶ児らのふるさと内戦の国(愛知県新城市)倉橋正敏

昭和三十年妻子を連れて復員せし伯父は逝きたり伯母帰化させて(岐阜県高山市)小林伸子

米国よ忘れる勿れヒロシマで死んだ虜囚の米兵達を(名古屋市)坂本雅則

防空壕掘る手を止めて聞くラジオ玉音放送意味不明なり(愛知県豊田市)園田秀壽

野あざみの色あせて咲く白き浜に鉄の雨ふり屍かさなりぬ(広島市)田村陽子

美しき傷痕(きず)の横顔よ、「戦後」問ふ行脚の日々の杉山千佐子(愛知県稲沢市)中沢一議

あのビルは原爆ドームなどと言ふ名では無かつたあの朝までは(岐阜県高山市)広瀬亮子

マラリアに罹(かか)りし父の従軍を文字は伝えり軍隊手帳(大阪府池田市)松村律子

説明に自殺魚雷と書かれたるパールハーバーの回天を見き(福岡県柳川市)穆谷祥子

空を飛ぶチェルノブイリの空を飛ぶ奇形の燕も飛ばねばならぬ(岐阜県高山市)和田操

「あかんから戦(いくさ)はあかん」父ぎゆつと握りぬ錆(さ)びし認識票(にんしきへう)を(奈良市)和田康

 【中学・高校の部】

死の灰に降られし第五福竜丸 惨劇の記憶絶やさじと思ふ(静岡県立藤枝東高2年)阿井星后

やけこげた赤子を抱いてひたすらに「起きておきて!」とひびきわたる声(岐阜県・高山市立朝日中3年)石原未結

核を持ち得られる均衡(バランス)なんかより核無き平和を祈る折鶴(長崎県立長崎西高3年)石森聡子

原爆を思う昭和と知る平成つなげ令和へ平和のバトン(北海道江別市・立命館慶祥中2年)岡田蒼衣

お兄ちゃん幼い弟だっこして地獄の道を歩く八月(岐阜県立吉城高1年)岡田武拓

昔なら身一つで人を殺めたが指先一つで殺められる今(岐阜県・高山市立日枝中3年)鍛治谷明音

「ヘいき」だよ 残(ノこ)された人 困(コま)ってる 基(キ)地に囲まれ 血(チ)を見る羽目に(東京都町田市・和光高3年)片野和泉

千種区の建設現場に不発弾 戦火の記憶活かせ未来に(名古屋市・名古屋高2年)久保田登万

糸数のガマの中での闇の声 時空をこえて今に伝わる(岡山市立光南台中3年)兒山颯汰

黒こげたセーラー服の持ち主は私と同じ15歳の君(きみ)(岐阜県・美濃加茂市立東中3年)近藤ゆうみ

三輪車またあそぶ日をまちうける戦争のないあの日常を(岐阜県立吉城高1年)坂上爽太

「生きたい」と祈りを込めて鶴を折る禎子の想い世界に届け(岐阜県・高山市立清見中3年)坂上妃生

先人が治し育てたヒロシマの平和の根っことつながる僕ら(岐阜県・高山市立久々野中3年)佐藤大嵩

ぽつりぽつりと沖縄戦の授業する琉大卒の新任教師は(名古屋市・南山中3年)杉浦朱李

死ね消えろ 銃持つ戦争ない日本 言葉の弾丸飛び交う日本(北海道江別市・立命館慶祥中2年)鈴木のぞみ

石段の跡みつめれば人の影 動き出しそうなヒロシマのあの日(岐阜県立吉城高1年)田口柚太

消えぬまま燃え訴える灯火の下で眠れぬ尊い命(岐阜県・高山市立日枝中3年)竹林恵梨

溶けた皮膚 形無くした衣服みて言葉が出ないヒロシマの夏(岐阜県立吉城高1年)立道萌香

幾十人名を消されゆく線無数特攻隊の冷たき名簿(岐阜県立飛驒神岡高3年)玉腰嘉絃

沖縄の静かな海の向こうから砂と爆音オスプレイ飛ぶ(静岡県立藤枝東高2年)長岡咲椰

地球儀を小さな指で滑らせる子の知らぬ戦争語る祖母(岐阜県立飛驒神岡高3年)古田雅人

世界初 共通言語に「平和」を「Hey WAR」じゃなく「平和」を(京都府立南丹高3年)水永颯太

その影は主の姿を待ち続け今なおひとり暗く焼き付く(静岡県立藤枝東高2年)望月悠凪

「どうしてもドームを残す」と言う少年 忘れぬことが平和につながる(岐阜県・高山市立東山中3年)門前凜音

いじめる子いじめられる子見ている子 勇気をだせばみんなかわれる(岐阜県・高山市立国府中3年)矢崎駿也

国破れて山河なしかな原爆の戦争起きれば何もなくなる(北海道江別市・立命館慶祥中3年)山内ハル

平和への願いを込めて折りし鶴 少女の想い今もこの手に(岐阜県・高山市立久々野中3年)山本ゆい

暴力はなぐる、ける、刺すだけじゃなく「死ね」「ウザイ」「消えろ」も暴力なんだ(北海道江別市・立命館慶祥中2年)結城七海

モノクロに燃ゆる十五の志願兵 悲哀の瞳に何を見つめる(名古屋市立植田中3年)若狹雅俊

命かけ戦う兵士の置きみやげ子どもの駆ける地雷の草原(静岡県立藤枝東高2年)藁品和也