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 イギリスの女性は強い。エリザベス女王は93歳の今も公務をこなし、テリーザ・メイ前首相は、「鉄の女」マーガレット・サッチャーに続く、この国2人目の女性宰相である。人気スパイ映画「007」も最新作で007を演じるのは女性だ。女性の地位向上に欠かせないのが高等教育。その先駆けとして知られるのがケンブリッジ大学に所属するカレッジの一つ、ガートン(Girton)だ。中世以来の伝統を持ち、世界の大学トップランクに名前を連ねるオックスフォード、ケンブリッジ両大学で初めて女子学生のみのカレッジとして創設されたのは1869(明治2)年にさかのぼる。今年で150周年を迎えた同カレッジを訪ねて、この国の女性の権利と教育について考えてみた。

 ロンドンから高速鉄道で北に約50分。ケンブリッジシャーの州都ケンブリッジは大学都市だ。町の至るところにケンブリッジ大のカレッジがある。同大学のカレッジは学生寮と少人数教育の場を兼ねた施設で入試の選考などもカレッジごとに行われる。ガートンは31ある同大学のカレッジの一つだ。大半のカレッジが市内中心部にあるのに対し、ケンブリッジ駅から約5キロ離れた郊外の村ガートンにある。13.4ヘクタールの広大な敷地には、ビクトリア様式の赤れんがの建物のほか、室内プールなどの施設も整っている。

 その歴史は、女性の権利拡大の歴史と重なる。創設者のひとりでガートンの学長(ミストレス)も務めたエミリー・デイビーズ(1830~1921)は女性の参政権と大学入学の権利を求めた活動家。日本人でいえば市川房枝と上野千鶴子さんを足し合わせた感じだろうか。イギリスでは1867年の第2回選挙法改正で、都市労働者に選挙権が拡大したが、女性の参政権は認められず、女性参政権運動が活発化していった。同国で初めてとなる女性カレッジの創設はその2年後にあたる。女性参政権が初めて認められたのは第1次世界大戦末期の1918年。男女間には年齢などの差があり、男女平等の普通選挙権が認められたのは1928年だった。議会制民主主義の歴史と伝統を持つイギリスだが、女性参政権に限れば、第2次大戦後の1945年に女性参政権を得た日本よりやや先んじていただけということになる。

 ガートン・カレッジも長い間、大学正規のカレッジとしては認められなかった。カレッジが町はずれに位置していたのも、そんな事情と無縁ではない。卒業生に学位が与えられる正規のカレッジとして認定されたのは、1948年。創設から約80年かかったことになる。まさに「闘う女子大」だ。そのカレッジも約40年前からは、共学になった。現在、所属する学生約800人の男女比はほぼ半々だという。なぜ共学になったのか。女性だけの教育の意味はあるのか。学長のスーザン・スミスさんに聞いた。

正規化、圧倒的多数で否決

 スミスさん自身は、ガートンの…

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