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 広大な水田地帯の一角で、背丈が2メートル以上ある植物がさわさわと風に揺れる。まっすぐ伸びた茎の先は、開いた打ち上げ花火のような形をしている。カヤツリグサ科の多年草パピルスだ。その茎は古代エジプトで紙の材料に使われた。

 ナイル川下流、カラモウス村でムハンマド・ゾグリさん(39)が弟と営む平屋建ての小さなパピルス紙工場に、刈り取られたばかりの茎が束になって運ばれてきた。

 夏の繁忙期は、休み中の子どもたちも手伝う。電動のこぎりで60センチに切った茎を、長女シャヘドさん(13)が釣り糸を使って厚さ1ミリほどにそぐ。それを長男ユーセフ君(5)が、あくの入った水に漬ける。

 従業員の女性たちが一片ずつ手に取り、しわを伸ばして縦横に重ねる。鉄板で重しをかけ、天日で乾燥させる。「のりは使いません。昔ながらの作り方にこだわっています」とゾグリさん。

 この村はパピルス栽培の中心地だ。かつては2・1平方キロの水田で栽培されていた。富士五湖の一つ、西湖と同じ面積だ。

 ところが2011年の「アラブ…

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