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 浜辺にココナツの木が茂り、エメラルドグリーンに輝く海に、老朽化した貨物船が浮かんでいた。7月中旬、米領サモアのツツイラ島パゴパゴ港。全長約180メートルの船体には赤茶色のさびが目立つ。近くの海浜公園でランチを食べていた女性は「気味が悪い。米政府から何も説明がないので、みんな不安で、文句を言っている」と眉をひそめた。

「Wise(賢い)+Honest(正直な)」

 船は北朝鮮籍の貨物船ワイズ・オネスト号。5月11日、タグボートに引っ張られてここの港に入り、以来、拘留され続けている。

 米司法当局によると、ワイズ・オネスト号は国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に違反し、北朝鮮から石炭を輸出しようとした疑いがあったため、昨年4月、インドネシア当局に拿捕(だほ)された。その後、米金融機関を利用した北朝鮮関連の取引を禁じる米国法に違反した疑いがあるとして、米司法当局が押収令状を執行し、米国がインドネシアから引き渡しを受けた。

 米政府は米領サモアを拘留場所に選んだ理由について、「地理的にベスト」と説明する。ハワイとニュージーランドの中間のはるか南太平洋上に位置する。万一、北朝鮮が奪還しようとしても、容易ではない。

報復恐れる地元

 一方、住民は「厄介者を押しつけられた」として、米政府への不満を募らせている。貨物船は港の真ん中で拘留されており、他の船は常に回避して航行しなければならない。サイクロンが来襲すれば、他の船や岸壁にぶつかって損傷を与えることが心配されている。

 米国の押収に対し、北朝鮮は猛反発して返還を強く求めており、米領サモアでは北朝鮮の報復を心配する声が出ている。地元政府関係者は「北朝鮮はミサイルで攻撃する能力がある。グアムのように島が標的になりかねない」と語る。

 記者が取材中、滞在先のホテルに「米国土安全保障省の特別捜査官」を名乗る男性が現れた。男性は記者に提示させた身分証明書を撮影した後、こう警告した。「外国人がこの島にやって来て、北朝鮮の船をかぎ回っていることを、私の上司は懸念している」

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 ワイズ・オネスト号は、米政府が初めて安保理制裁決議違反に関連して押収した北朝鮮籍の貨物船だ。拿捕や拘留の現場を歩き、米国とインドネシアの捜査関係者を取材すると、北朝鮮の密輸ビジネスの実態が浮かび上がった。(米領サモア=園田耕司)

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