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それぞれの最終楽章・病院の牧師として(2)

淀川キリスト教病院チャプレン・藤井理恵さん

 病院付き牧師として、患者さんの「たましいの痛み」に向き合う時、「キリスト教を信じたら救われますよ」とは言いません。必要に応じて「聖書にはこう書いてあって、私はこんなふうに信じています」とお伝えします。

 「宗教なんて必要ない」という患者さんもいます。定年退職を間近に控えた59歳の男性で、胃がんの末期でした。看護師が「この人は何かに苦しんでいる」と感じ、「この病院にはチャプレンがいます。来てもらってもいいですか」と聞くと「宗教は信じてないけど、話を聞いてくれる人がいるんやったら、来てもらってもええよ」というので、訪問することになりました。

 お昼の放送などは聞くともなしに聞いていたようです。病室にうかがうと、男性は人生行路を話し、「自分を信じて生きてきて、うまくやってきた。これからもそれは変わらない。あなたのように信仰を持っている人を否定はしないけれど、私は自分を信じる」と話しました。私は私で「苦しい時に聖書のこんな言葉に助けられたことがありました」などとお話ししました。そうした会話が毎日続きました。

 家族にも恵まれていました。入院中にお嬢さんが結婚式を挙げることになり、車椅子で出席したいと言いましたが、病状が厳しくかないませんでした。式の数日前に花嫁衣装の娘さんと紋付き姿の婚約者が病室に来られて、記念撮影もしていました。そんな家族の支えもあって、自分の築いたものを信じて生きてきたのだと思いました。

 ただ、奥さんからお聞きした話…

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