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 過激派組織「イスラム国」(IS)による虐殺の標的となり、多くの女性が「性奴隷」にされたイラクの少数派ヤジディ教徒。6千人以上が拉致され、数日間で1千人以上が殺害された事件から8月で5年がたった。今も約3千人が行方不明のままだ。その中心の町シンジャルに記者が入った。

 「ドスン。ドスン」

 破壊された建物が並ぶかつての市場に立つと、風にあおられたトタンが壁にぶつかる乾いた音だけが響いていた。人影はまったくない。「私に聞かなくても、見ればわかるでしょ。政府は何もしてくれず、ここは『無視された街』なんです」。住民の無職エゼディン・バラカトさん(31)がつぶやいた。

 2014年8月にISがシンジャルに侵攻し、ヤジディ教徒を迫害。米国の空爆開始のきっかけとなった。15年11月に解放されたが、水道網は復旧せず、行政や治安の機能も混乱したままだ。昨年12月、シンジャル近郊出身で、ISによる性暴力を告発したヤジディ教徒のナディア・ムラドさん(26)がノーベル平和賞を受賞し、国際社会の関心は高まった。だが、住民の間には「ここは何も変わっていない」という失望が広がる。住民によると、人口約8万8千人のうち、戻ったのは2割ほどという。

 記者はイラク軍と州治安部隊の許可を得てシンジャルに入った。ISが最重要拠点としたモスルから約100キロの道のりに、検問所が10カ所あった。シンジャルの入り口では30分以上留め置かれ、「外国人は入れるなと言われている」「目的はなんだ」と聞かれる。

 記者に同行した警備会社は「治…

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