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(17日 高校野球栃木大会 宇都宮短大付 3-0栃木翔南)

 0―0。息をのむような投手戦が続いた。

 宇都宮短大付の六回無死一塁、栃木翔南の左腕・小井田健悟投手(3年)はマウンドを駆け下りると、バントで転がった球をつかみ、振り返って送球体勢に入った。途中で誰もカバーに入っていないことに気づいたが、腕を途中で止めることができなかった。送球は無人の一塁を越えて、一塁走者が一気に生還した。

 小井田投手は今春、肩を痛めた。球を投げると肩にピリピリとした痛みが走った。病院で診察し、2カ月ほどリハビリを続けた。十分に投げられなかったので下半身の筋力強化に力を注いだ。

 栃木翔南は選手15人の小所帯ながら、1回戦は8回コールドで完勝した。小井田投手は七回まで完全試合ペース。15奪三振の活躍だった。

 この日の宇都宮短大付戦でも、テンポよくストライクを稼ぎ、淡々とした表情で五回まで零封を続けた。130キロ台の直球に変化球を織り交ぜ、三振の山を築いた。

 六回の悪送球の後も気持ちを切り替えて淡々と投球を続けた。スクイズを外し三塁走者を挟殺。最後は空振り三振に切って取った。七、八回も零点に抑えた。

 「左では県内トップクラスだと思います。なかなか打てません」。試合後、宇都宮短大付の増田清監督は苦しめられた左腕をたたえた。

 九回、宇都宮短大付の打線に捕まったが、奪った三振は11。試合後、メガネの奥の目を赤くはらしながら記者の質問にしっかりと答えていた。「短い夏でしたが、やり切りました。後輩たちには僕たちができなかった、長い夏を経験してほしいです」(池田敏行、平賀拓史)