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 元関脇安美錦の安治川親方(40)が18日、名古屋市内で引退会見を開いた。多彩な技を決めた技巧派が誇ったのは、とっくり投げや逆とったりといった珍手ではない。少年時代、故郷・青森で培われた型だった。

 頭を下げ、前みつをつかみ、食い下がっての出し投げ。「俺が教わったのはこの相撲」。忘れられないのは一昨年の九州場所千秋楽だという。左アキレス腱(けん)断裂から復帰し、昭和以降の最年長、39歳で再入幕を果たした場所だった。

 4連敗し、7勝7敗。負け越せば敢闘賞を逃す一番で、千代翔馬を上手出し投げで破った。「あの状況で打てた。(型が)体に染みついているんだなと。だから小さい体でやってこられた。やってきて良かったと、やっと思いましたよ」

 頭をこすりつける取り口ゆえ髪の心配もあった。でも、「やめてから生える努力をすればいい。長く(現役を)やれば(やめる頃には)いい薬が出ているだろうと」。相撲への愛と、冗談。最後まで安美錦らしかった。(鈴木健輔)