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 海での乗船実習のため、第101回全国高校野球選手権愛知大会に出場できなかった3年生のために、三谷水産が18日、岡崎市民球場で「親善試合」を行った。雨のため、試合は三回までとなったが、夏の大会に出られなかったメンバーたちは全力でプレーした。

 三谷水産は愛知県蒲郡市にある県立校で、県内唯一の水産高校。野球部員のうち海洋工学コースの3年生5人は、5月から7月4日まで太平洋などでの乗船実習に参加。6月29日の愛知大会の初戦は出場がかなわず、チームは敗退した。

 「最後の夏の大会に出られなかった3年生のために、親善試合ができないか」。発案したのは、新城の藤城賢監督ら。かつて三谷水産の監督を務めていた縁もあって企画し、三谷水産や新城東作手に声をかけた。会場には、愛知大会の決勝が行われる岡崎市民球場を選んだ。

 相手は、新城と新城東作手の合同チーム。三谷水産11人に対し、新城3人、新城東作手6人が参加した。いずれも引退した3年生が出場し、三谷水産は、実習で夏の大会に出られなかった5人がスタメン入りした。

 試合は午後6時前に始まった。三谷水産の先発は稲吉春希君。「九回を完封する」と気合を入れて照明のもと力投したが、中指にできた豆がつぶれて出血し、2イニングを投げて降板した。「思い通りの投球ができず、悔しかった。でも、こんなすばらしい舞台を用意してもらって感謝している」

 主将だった4番近藤楓我君は、3点を追う三回裏、適時二塁打を放つ活躍をみせた。この回さらに1点を加えたが、三回が終わった時点で雨が強まり、試合終了。三谷水産は2―3で敗れた。近藤君は「三回だったけれど、楽しかった」と話した。

 稲吉君や近藤君らは愛知大会の初戦前、船の上で仲間から「絶対勝つ」「2回戦から一緒にやろう」との連絡を受けて発奮。2回戦に備えて、狭い船内で腹筋や腕立て伏せなどをして、体力の維持に努めていたという。

 近藤君は初戦後、仲間から寄せられる「ごめんね」というメールに、「あやまらなくていいよ」と返事をしたと明かした。「初戦突破を信じていた。本当に悔しかった。でも、みんな一生懸命にやってくれた」と振り返る。

 この日試合をした新城東作手は、かつて三谷水産と合同チームを組んでいた。現在の3年生は、1年生のとき一緒に練習をしていたこともあるといい、球場では久しぶりの再会を喜ぶ姿もみられた。

 三谷水産の忠内紀尚監督は「素晴らしい機会を作ってもらった。選手はみんないい顔をしていた。この経験を今後の人生に生かしてほしい」と話した。(連勝一郎)