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 明治天皇をまつるのにふさわしい沿道の維持を理由に、日本初の風致地区に指定された明治神宮外苑地区(東京都港区、新宿区、渋谷区)。「都心最後の一等地」と言われた一帯でいま、高層ビルが「雨後のタケノコ」のように生まれている。

 地区の景観を半世紀ほど守ってきた建築物の高さ制限が緩和されたためだ。この2年間に着工したり、完成したりした50メートル超のビルは4棟。2020年東京五輪後には、さらに200メートルに迫るビル2棟も建つ計画だ。

 呼び水になったのが、20年大会の招致だった。

 都が1970年に条例で設けた高さ制限は15メートルだった。しかし、この地で国立競技場を運営する日本スポーツ振興センター(JSC)が、大会招致に向け、英国の建築家ザハ・ハディドの案を元にした高さ75メートルの新国立のデザインを発表すると、7カ月後の13年6月、一部の高さ制限が80メートルに引き上げられた。

 高さ制限の緩和は、JSCなどのスポーツ施設を持つ団体や、伊藤忠商事や三井不動産、明治神宮といった地権者にとって福音だった。高層化によって、土地面積あたりの収益性が高まるからだ。容積そのものが売買の対象になるため、競技施設を新設する費用を生みだすこともできる。

 老朽化した神宮球場や秩父宮ラグビー場を建て替え、地区一帯にスポーツ施設などを集める都の街づくり計画が動き出した。JSCで国立競技場の建て替え問題の最前線にいた高崎義孝(63)は「都、JSC、民間企業の水面下の動きが一気に表に出た」と振り返る。地区内で本社の建て替えを計画してきた伊藤忠は、社内報に「千載一遇の機会を得た」と記した。

 都は昨年11月に示した街づくりの青写真で、地区外ながらほど近い青山通り沿いに170メートル級のビルが建っているという理由で、地区内の一部で同水準の高層化を容認。今年5月、185メートルの商業ビル建設計画が明らかになった。今後、高さ規制がさらに緩和される可能性が高い。都の担当者は「土地の高度利用と緑化促進を両立させる制度にのっとって、事業が適切かをみている」と説明する。

 港区青山通り協議会の小林敬三(86)は五輪開催にも、再開発にも、反対ではない。それでも、民間事業者の利益優先に見える開発計画と、引きずられるように規制を緩める行政の姿勢に違和感を覚える。

 だれのため、何のための再開発…

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