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 第101回全国高校野球選手権神奈川大会(県高校野球連盟、朝日新聞社主催)は、18日までに149チームが姿を消した。OBや保護者ら多くの関係者も、選手とともに涙をのんだ。厚木のマネジャー坂本玲奈さん(3年)もその一人。難関の気象予報士の資格を持ち、天気予報の側面からチームを支えてきた。

 「10分後の予報して」。天気が怪しくなると、指導陣や部員から坂本さんに声がかかる。スマホでレーダーの情報を調べたり、雲の様子を見たりして予測を立てる。練習や試合を続けるか中止するか、グラウンドをどの程度整備するか。予報をもとにチームの予定が変わり、感謝の言葉が坂本さんに贈られることも多い。

 幼稚園のころ、雲が主人公の絵本を読んで空に興味を持った。小学校に入って気象予報士という資格の存在を父から教わり、中学生から通信講座で勉強を始めた。

 試験は、気象現象や予報業務に関する学科と、天気図などをもとに文章や図表を作る実技がある。数学や化学、物理に関しては高校程度の知識が必要だといい、合格率は5%ほどの難関だ。まだ習っていない三角関数などは通信講座の質問制度で何度も聞き、テキストを1回音読するべき部分は2回読むなど、学校や塾から帰って毎日3時間の勉強を続けた。

 「求められている知識の幅が、広くて深い。でも、そんな気象現象の理由まで解明されていたんだと驚くことも多くて、わくわくしながら勉強した」

 中3の夏、ついに試験に合格。その後、厚木に入学し、部員が大きな声でそろってあいさつする「ピリッとした雰囲気」に魅せられ、野球部のマネジャーになった。いつの間にか、気象予報士の資格を持つことが伝わり、予報が「業務」の一つになった。

 野球は屋内ではなく、空の下で行うスポーツ。つい、部員の上の空に浮かんだ雲に見とれることもありつつ、チームを支える使命感に燃えた。

 でも、ピンポイントの予報は難しく、的中率は「五分五分」。この冬、雪が降った日には、次第に強まるという予報のもとに練習を切り上げたが、実際には降りやみ、翌日、「昨日は練習できたよなぁ」と言われてしまった。

 「野球部での3年間で、予報ってこんなに責任があるんだと痛感した。社会活動から、私たちの外出や服装など、身近な生活にまで関連しているところが予報の魅力」。チームは12日に1点差で敗れ、坂本さんも野球部を引退した。今後は大学を経て、気象庁で予報の仕事に関わりたいと思っている。(木下こゆる)