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 高校野球鹿児島大会は19日、3回戦6試合があり、16強が出そろった。鹿屋工は延長十二回、3時間の熱戦をサヨナラ勝ちし、れいめいは川内商工との息詰まる投手戦を制した。シードの尚志館と鹿児島情報はそれぞれ集中打で逆転勝ち。樟南と国分中央はコールドで快勝した。

俺の球を打ってみろ…涙なく 川内商工・関宙君

 得点は初回裏の1点のみ。両エースの投げ合いでスコアに0が並んだ。三振を取るたび、一瞬の静寂とわき上がる歓声。

 八回裏2死一塁。追加点の走者を許した川内商工のエース関宙(そら)君(3年)は「ここ抑えれば仲間が打ってくれる」。捕手のサインにうなづく。

 振りかぶり、左足を肩近くまで高く上げる独特のフォームで投げ込んだのは、低く沈む得意のスライダー。ボールを指から離した瞬間「きた」と感じたほどどんぴしゃの指のかかり具合だった。空振り三振。「しゃー!」と拳を握り、雄たけびを上げた。

 「もともとアウトとって叫ぶとか、感情を表に出す子じゃなかった」と長友望朗監督はいう。

 小学校時代、ソフトボールで野手として全国大会に出場。中学で始めた野球から投手に。昨秋、新チーム発足後、ひじの内側の痛みで約2カ月間、投げられなかった。後輩に背番号「1」を奪われた。練習に復帰した後の春の大会もスタンドにいた。チームは1回戦負け。「エースは自分だ」。悔しさで拳が震えた。

 その直後からだった。練習試合や公式戦で勝負どころで打者をうち取ると、マウンドで雄たけびをあげるようになった。俺の球を打ってみろ、夏のエースは俺だと。

 九回表、チームは三塁まで走者を進めたが、あと1本が出なかった。

 「やりきったっていう気持ちはない。後悔もある。でもそれ以上、本当に楽しかったんです」。9奪三振、140球を投げきったエースに涙はなかった。(合田純奈)