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 熱戦が続く第101回全国高校野球選手権の地方大会を勝ち進んでいる強豪には、甲子園で活躍した先輩が残した品々を受け継ぐチームがある。道具を通じて、先輩の言葉や引き継いだエースナンバーの重みをかみしめながら、後輩たちはその背を追う。

 今春の選抜大会8強で、5季連続の甲子園を目指す智弁和歌山。26日に和歌山大会準々決勝の神島戦を控えている。主将の黒川史陽(ふみや)君(3年)が使うバットは、1学年上の先輩で、高校通算49本塁打の林晃汰選手(現広島)が使っていたものだ。

 今春の選抜後、「気分を変えたくて」と、部に残っていた林選手のバットを振ってみた。それまでのバットより1センチほど短く、内角が打ちやすく感じた。試合でも使い、本塁打も増えた。

 黒川君は林選手について「練習量も多く、人間としてもほれる。林さんはライバルであり、尊敬できる存在」と語る。

 昨夏の引退後、林選手から、「高校野球をエンジョイしろ」との言葉をもらった。目指すは、林選手もかなわなかった全国の頂点。「まだまだこれから。夏を楽しみたいです」

 春夏連続の甲子園出場を目指す履正社(大阪)のエース清水大成君(3年)の下宿先には、少し汚れたオレンジ色の握力トレーニング用のボールがある。2016年夏の甲子園で活躍した寺島成輝投手(現ヤクルト)からエースに受け継がれてきたもので、清水君が4人目の持ち主だ。

 「あんまりきれいではないですよ」と苦笑いするが、そのボールで、リリースする時の指の押し込みや、指のひっかかりを強くしようと、毎日100回もんで、握力を鍛えてきた。

 清水君はボールを見るたびに「自分が背負う背番号1の重みや責任感を感じる」といい、「そのプレッシャーを力に変えたい」と自らを奮い立たせている。(西岡矩毅、山田健悟)