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 8強が決まった。19日は2球場で3回戦4試合があり、山形学院と東海大山形の試合は、夏の山形大会では初となるタイブレークまでもつれ、東海大山形が延長十三回にサヨナラ勝ち。日大山形も村山地区同士の接戦を制した。山形中央と酒田南はコールド勝ち。

 20日は準々決勝2試合が山形県野球場である。

1人のマウンド 孤独じゃない 山形学院・大場勇飛投手

 167球を1人で投げ抜いた。でも、マウンドでは決して孤独ではなかった。

 山形学院のエース大場勇飛(はやと)投手(3年)はこの日、15安打を浴びながらも要所を締め、東海大山形打線を相手に粘りの投球を続けた。

 投手に転向したのは高校入学後だが、1年の夏も、2年の夏もマウンドに立った。ただ「自分が抑えなければ」という気持ちが空回りし、ピンチで熱くなりすぎて失投やミスを重ねた。

 「もっと後ろを信じろ」。昨夏以降、監督や仲間の言葉に、目指す投手像を考え直した。これまでのスリークオーターに加え、サイドスローでも投げられるように練習を積んだ。2種類のスライダーをはじめ、多彩な変化球を一つずつ指に覚えさせ、打たせて取る投球術を磨いた。

 春の県大会は5試合を1人で投げ抜き、チームは初の東北大会へ。大場投手が粘り強く投げることで、終盤の逆転劇を何度も呼び込んだ。

 「大場を1人にしない」。それが今年のチームの約束事だ。この日も仲間たちは打撃で、守備で大場投手を懸命に支えてくれた。

 失点すれば、打線が直後の攻撃で点を取り返す。一塁手の露久保拓也主将(3年)や三塁手の堀江聖仁(きよひと)選手(3年)はピンチではもちろん、打者を打ち取るたびに何度もマウンドに駆け寄り、「俺たちがいるから」「笑顔で楽しめ」と声をかけた。

 延長十回裏には、二塁手の鈴木昂選手(2年)が外野に抜けそうなライナーを跳び上がって好捕。ピンチを切り抜けた。

 だが、タイブレークになった延長十三回。外角低めの直球を、センター方向へはじき返され、最後に力尽きた。それでも「最後まで諦めない姿を見せられたから悔いはない」。仲間たちと一緒に戦えたこと。それが、エースの誇りだ。(西田理人)