[PR]

 茨城大会は20日、4球場で4回戦8試合があり、8強が出そろった。土浦日大は水城に0―6で敗れ、3連覇の夢はついえた。第1シードの藤代は霞ケ浦と投手戦の末、延長十回に0―1でサヨナラ負け。水戸商は土壇場の九回に同点に追いつくと延長十一回にサヨナラ勝ちするなど、好ゲームが相次いだ。

 21日は休養日で試合がない。22日はノーブルスタ水戸とひたちなか市民で準々決勝4試合が行われる。

延長10回 勝負を選んだ 藤代の藤井皓大主将(3年)

 延長十回裏、霞ケ浦の選手がベンチから勢いよく飛び出し、歓喜の輪をつくるのを前に、藤代の藤井皓大主将(3年)は本塁上でぼうぜんと立ち尽くした。

 最速148キロを誇り、今大会ナンバーワンの呼び声も高い霞ケ浦の鈴木寛人投手(3年)との一戦。今大会初登板のエース中山航投手(3年)と藤井捕手の藤代バッテリーは一歩も引かなかった。

 伸びのある直球と右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップを中心に配球を組み立て、スコアボードに0を並べた。四回と八回以外は毎回安打を許したが、何度もマウンドに駆け寄り、「サイン通り投げれば打たれないから」と中山君を励ました。

 九回には1死二塁のサヨナラのピンチを迎えたが、ワンバウンドの変化球を何度も体で止め後逸を防ぎ、2者連続三振に切って取った。

 0―0のまま迎えた延長十回表、1死二、三塁の好機で、打席が回ってきた。「頑張っている中山のために絶対打つ」。だが、初球の低めのスライダーに手を出してしまい、追い込まれた最後は146キロの直球に空振り三振に倒れた。

 その裏、2死二塁のピンチで、打席に迎えたのは4番。一塁は空いていたが、「厳しいところを攻めていこう」と勝負を選択した。

 2球目、前の打席でタイミングがあっていなかったチェンジアップを外角低めに要求。狙い通りの球に「よし」と思った次の瞬間、打球が中堅手の頭を越えた。

 2006年の菊地一郎監督の就任以降、新チーム発足から一度も主将が変わらなかったのは藤井君が初めてだ。結果が出ずに部活を辞めようとしていた中山君を「お前が投げなくて、誰が投げるんだ」と説得したのも藤井君だった。

 試合後中山君は「厳しいマウンドだったけれど、藤井の声かけでピンチでも冷静になれた。九回まで0で粘れたのは藤井のおかげ」と感謝した。

 チームは昨秋の県大会決勝で、常総学院に0―15で大敗。その日にグラウンドのスコアボードに「0―15」のスコアを貼り、リベンジするまでははがさないと決めた。

 「打倒常総」で冬の厳しい練習を乗り越え、春の県大会で優勝。第一シードとして臨んだ最後の夏は、道半ばで終わった。藤井君は「常総と決勝でぶつかりたかった。自分が打てていれば……」と悔しさを隠しきれなかった。(佐々木凌)