白山パルマ主将、後輩に託す「泣くな。もう一回旋風を」

村井隼人
[PR]

(20日、高校野球三重大会 三重11―3白山)

 フィリピン人の両親とともに小学4年で来日した白山のパルマ・ハーヴィー主将(3年)は昨夏、グラウンドで現実を突きつけられた。出場した甲子園から白山に戻った翌日、伊賀白鳳との練習試合は完敗だった。

 重圧に苦しんだ1年だった。2大会前まで10年連続の初戦敗退。そこから手にしたあこがれの甲子園。アルプススタンドに響く「頑張れ」のコール。あの感動を今も忘れていない。

 先輩に続こうと臨んだ秋の公式戦は白星なし。ムードメーカーであることを見込まれて主将になったが、急増した部員をまとめきれずに声を荒らげることもあった。何より公式戦メンバーから外れ「自分の武器は何なんだろう」と自信を失った。

 見かねた東拓司監督が勧めたのがノンステップ打法だ。腰をしっかり落とすので、相手投手は低めに投げざるを得ない。しかも両打ちで相手を翻弄する。四球でも何でも、とにかく泥臭く塁に出て勝利に徹しようとした。自分の武器を手に入れ、自信を取り戻す。自然と仲間がついてきてくれるようになった。

 強豪・三重との試合。相手投手から球数を稼ごうと、3打席目まではすべてフルカウントまで投げさせた。それでも最後の打席は「思い切りやってこい」と東監督に送り出され、初めて初球から振った。凡打になったが、心の中はすがすがしかった。

 昨夏の活躍をみて入学してきた選手も多い。試合後、涙ぐむ後輩にあえて厳しい言葉をかけた。「泣いている暇があったら、もう一回旋風を起こせ」(村井隼人)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません