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 全国高校野球選手権奈良大会は20日、橿原市の佐藤薬品スタジアムで2回戦3試合があった。高田商は六回に大住の本塁打などで逆転し、八回にも追加点を挙げてシード校の奈良高専を下した。郡山は強力打線で奈良朱雀に7回コールド勝ち。だが、奈良朱雀も土壇場に連打で満塁とする粘りを見せた。天理は着実に加点する一方、堅い守りで五條に三塁を踏ませず7回コールド勝ちした。

3ラン「宇宙人」に涙 奈良高専・宝持和馬君

 2点を追う四回裏。1死一、三塁の場面で奈良高専・宝持和馬君(2年)が打席に入った。「三塁ランナーをかえそう」という一心だった。打ち返した球は思いがけず大きな弧を描き、左翼席へ。3点を返し、逆転に成功した。「期待に応えた」という喜びを感じながら本塁を踏み、扇谷拓実主将(3年)、堀晟生(あきお)君(同)と満面の笑みでハイタッチを交わした。

 その後、高田商に再びリードを許し、迎えた最終回の攻撃。先頭打者として打席に立つと、応援席からひときわ大きな声援が聞こえてきた。「絶対に打って、自分が(本塁に)かえる」。打球は三ゴロとなったが、三塁手から一塁手への悪送球でセーフに。反撃ムードだったが後続が絶たれ、シード校の夏が終わってしまった。

 振り返れば、野球人生で3本目の本塁打だった。うち2本は春の県予選で放ち、4強入りに貢献した。チームに風を吹かせるような打撃力から、西前竜一監督は「宇宙人」と呼ぶ。「チャンスの場面で『打ってこい』と言えば本当に打ってくる。ピッチャーに対する集中力がある」。扇谷主将も「あいつに打席が回ると、『何かが起こるぞ』とチームが盛り上がる」。

 冬場、多い日で1千回はバットを振った。「とにかく自分が納得いくまで振りました」。走り込んで脚も鍛え、今春以降は長打力が飛躍的に向上した。

 終盤に、あと一本が出ていたら――。悔しさが募ると同時に、3年生と一緒に練習した日々や、下校中のにぎやかな会話を思い出して泣いた。「恩返しできるよう、一からまた頑張っていきたい」(佐藤栞)