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 第101回全国高校野球選手権大阪大会(朝日新聞社、大阪府高校野球連盟主催)は20日、大阪シティ信用金庫スタジアムなど6球場で3回戦19試合があった。春の近畿地区大会府予選を制した大商大は、大商大堺に逆転で敗れた。履正社は春季府予選で準優勝の箕面学園をコールドで破り4回戦へ。桜宮は終盤に逆転し、昨夏の北大阪大会準優勝の大阪学院大を破った。

大商大・上田大河君

 1球が勝負を分けた。六回表2死一、二塁。大商大の上田大河君(3年)はマウンドで息を整えた。カウントは2ボール。「入れていこう」。自信のある直球が高めに浮いた。金属バットの快音と、わき上がる歓声。打球は風にも乗り、左中間の外野フェンスを越えていった。逆転の3点本塁打となった。

 上田君は最速148キロの本格派右腕。今春の近畿大会府予選では、選抜出場の履正社を2点に抑えて完投勝利をおさめるなど、初優勝の立役者となった。

 成長を促したのは、新チームになってから取り組んだ体作りだ。休息をとるために練習時間を2時間近く短くする一方で、ウェートトレーニングや体幹トレーニングの時間を増やした。効果は下半身に現れた。春には200キロ以上のバーベルを担いでスクワットができるようになった。軸足のためがボールに伝わり、直球の球威や速度が増し、スタミナもついた。

 六回も、疲れは感じていなかった。先頭打者を三振に仕留めると、続く打者に四球を与えた。再び三振で2死一塁としてから、死球でさらにピンチを広げた。「なにか、おかしい」。投球フォームのバランスが崩れている。心を落ち着かせようとしても、無理だった。フォームの違和感が拭えないまま投げた、あの1球だった。

 「春に優勝して注目されて、どこか過信があった。バランスを崩したとき『こんなはずじゃない』って、焦りが止まらなかった」。試合後、上田君はそう振り返った。「いくら体ができていても、気持ちひとつで試合は変わる。難しいですね」。目を赤くして、つぶやいた。

 大学進学後も野球を続けるつもりだ。そんな上田君を、高橋克典監督が試合後に呼び出した。「この負けを絶対忘れるな。これからに生きる、良い負け方だった」。上田君は力強くうなずいた。(山田健悟)