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 接近する台風に伴う荒天が心配されたが、福岡大会12日目の20日は予定通り4回戦8試合があり、16強が出そろった。16のシード校のうち勝ち残ったのは11校で、この日は東福岡、飯塚が涙をのんだ。海洋実習で全選手がそろっての練習が難しい環境の中、32強に進出した水産は西日本短大付に敗れたが、地区大会を初めて勝ち抜き、歴史をつくった。21日は5回戦4試合がある。

北九州市立・三好陸太主将 腰痛乗り越えチーム鼓舞

 北九州市立の主将、三好陸太君(3年)がマウンドに向かう。同点に追いついた直後の五回表、得点圏に走者を背負った益満夏輝君(2年)に伝えた。「打たれても仕方ない。思い切って投げろ」

 4人のタイプの異なる投手をリードして、32強まで勝ち上がってきた。交代直後にピンチを迎えた後輩を楽にしてあげたかった。要求したのは直球。だが、甘く入り、勝ち越しの適時打に。すかさず声をかけた。「ぜったい逆転するから」

 冬場は腰痛に悩まされ、走ることすらままならなかった。地道な体幹トレーニングを続け、時間を見つけては率先してグラウンドの草むしりをした。「チームのために自分のできることをしたい」。主将の思いに応えるようにチームはまとまり、勝ち進んだ。

 ここまで2試合は無安打だったが、この日は、同点に追いつく適時二塁打を四回に放っていた。六回裏、2死二塁の好機で打席が回ってきた。「逆転する」。益満君への言葉を胸に振り抜いた打球は左中間へ。だが、博多工の左翼手がフェンス際で飛びこみ、捕球。グラブを高々と掲げた。

 土壇場の九回裏は、追い込まれると指1本分、バットを短く持った。外角低めのボールに食らいつき、打球は中前にぽとりと落ちた。同点の生還を信じ、二塁から鼓舞した。だが、フルスイングしたチームメートのバットが空を切った。

 「つらいことがたくさんあった。でも、今日は今までで一番、自分たちの力を出せました」。目を真っ赤にしながら言葉を絞り出す主将をエースの犬塚脩護君(3年)が「最高のキャプテンでした」とたたえた。(川辺真改)