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(20日、高校野球東東京大会 小山台4-3安田学園)

 安田学園の3点リードで迎えた九回。先発の角田匠(2年)は小山台打線を散発5安打に抑え、三塁を踏ませていなかった。ここから負けることなど、誰も想像していなかった。

 まさに、悪夢だった。

 「どうすることもできませんでした」。試合後、角田は震える声でそう語った。突然、球の抑えが効かなくなった。落ち着けと自分に言い聞かせるほど、焦り、力み、球が上ずった。4長短打を浴び、逆転。球を握っている感覚がなかった。交代を告げられた。

 大会前、森泉弘監督は「投手力が弱い」と課題を挙げていた。角田も球速は120キロほどしか出ない。だが、冬場の走り込みで下半身を鍛え、制球力を磨いてきた背番号11の角田に、この夏の4試合すべての先発マウンドを託してきた。

 その期待に応えたかった。「僕の責任です。僕が試合を壊しました」。最後の打者が打ち取られると、立ち上がることができなかった。先輩に肩を抱かれ、整列に向かった。

 いっそのこと、「お前のせいだ」と責められた方が楽だった。でも、先輩たちから優しくポンと肩をたたかれると、再びその場で泣き崩れた。(抜井規泰)