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(20日、高校野球西東京大会 日大鶴ケ丘5―3府中西)

 府中西の主将川端優輝(3年)は敗戦後、「神宮に行きたかった」と悔しがった。あと一つ勝てば学生野球の聖地・神宮球場で試合ができた。それでも西東京大会で5回戦まで勝ち進んだ。「1人5役」で挑んだ長くて忙しい夏が終わった。

 主将、守備の要・捕手、主軸打者、ムードメーカー、さらに「監督代理」の顔も持つ。春に監督、責任教師、顧問が一斉に人事異動したため、常勤の指導者がいなくなった。外部指導者の小川泉監督の指導は週末中心なので、LINEで連絡を密にして平日の練習を組み立てた。

 昨冬に腰を痛め、春に左手首をケガした。本当は自分の体調だけ考えたいが、5役には許されない。明るい選手が多いので勢いに乗ると強いが、時に油断して緩む。厳しく声をかけ、時には嫌われ役になった。

 この日も忙しかった。同点に追いついた五回、安打で好機をつくって本塁を踏んだ。ピンチにはマウンドに走った。2点を追う最終回は三振してもダッシュでベンチに戻った。「自分が落ち込んだらゲームセット。まだ行けると訴えたかった」。続く2打者も四球を選ぶなど粘った。

 川端は「神宮」の話の後に続けた。「だけど充実感でいっぱい。絶対に忘れない最高の夏になった」=府中市民(木村浩之)