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(20日、高校野球栃木大会 宇都宮工4―3宇都宮南)

 「一振りで流れを変えてやる」。

 3点を追う六回。宇都宮南の高田知希主将(3年)が打席に立った。目つきは鋭く、闘志をむき出しにしていた。宇都宮工の左腕・福田彗仁投手(3年)相手にチームは安打1本に抑えられていた。

 初球の直球を思い切り振り抜いて中前安打に。この1本で打線に火が付き、連打で3点をもぎとり、試合を振り出しに戻した。

 野球好きな父信博さんの影響で小1から野球を始めた。中3の5月、信博さんが胃がんで亡くなった。「絶対勝てよ」。それが最後の言葉だった。「あの言葉はずっと忘れません。この言葉に背中を押されて、今までやってきました」

 主将として持ち前のほがらかな性格でチームをまとめた。ただ、この日、母の芳子さん(52)は「鬼になりなさい」と気合をかけて送り出した。

 「お父さんに見てもらいたかった。でも、どこかで見てくれてるかな。お母さんにはありがとうと言いたいです」。知希主将は涙を見せていた。(平賀拓史)