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 全国高校野球選手権宮城大会7日目の20日は、3回戦8試合があった。昨夏優勝の仙台育英と昨夏4強の柴田は、ともに終盤で逆転勝ち。シードの東北と聖和学園も勝ち上がった。仙台商は先発の佐藤壱が11奪三振の好投。

先発志願 さらば弱気の虫 富谷の丸谷優斗君

 2点リードの九回表、富谷のエース丸谷優斗君(3年)は、足の痛みと闘っていた。歯を食いしばって2死を取り、遊ゴロでゲームセット、のはずだった。小さくガッツポーズをしながら振り返ると、送球がわずかにそれたのか、審判が両手を広げていた。次打者に三塁打を許し、延長にもつれこんだ。

 昨秋も背番号1をつけていたが、体力のなさが課題だった。登板を渋り、平井安弘監督に怒られたこともある。平井監督は「弱気の虫が出ていた」。継投した試合でも抑えきれず、県大会は初戦で敗れた。

 「投げきれると信用してもらわないと」と、ひたすら走り込んだ。中学2年から腕を下げたフォームが今春に固まり、得意のスライダーに磨きをかけた。

 「明日の先発は誰ですか」。昨夏4強の強豪・柴田との対戦前日、初めて平井監督に尋ねた。驚いた監督が「どうすっぺな」と言うと、「自分に投げさせてください」と志願した。

 九回表を終えて戻ったベンチで、体調を気遣う平井監督から投手交代を打診されたが、「自分が行きます」と断った。延長十二回、甘く入ったスライダーを右翼に返され、決勝の2点ランニング本塁打となった。

 チームは敗れた。でも後悔はない。「自分のやれることはやった。相手が一枚上手だった」。打者51人に1人で165球を投じた。平井監督は「よく投げきってくれた。最初から先発は丸谷しかいないと決めていたよ」とたたえた。(窪小谷菜月)