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 島根大会は20日、2球場で2回戦4試合があり、16強が出そろった。今春の選抜大会の21世紀枠候補校だった平田は浜田商にコールド負け。松江農林と安来はともに逆転勝ちした。21日は同じ2球場で3回戦4試合がある。

「ここで野球」貫く 大東・安部裕貴君

 八回表、大東の安部裕貴君(3年)が代打で打席に立った。「ずっと憧れていた舞台だった」。夏の島根大会で立つ、最初で最後の打席に、緊張と喜びが駆け抜けた。結果はフライアウトだったが、たった一度の打席に、ともに努力してきた仲間やチームへの思いを込めた。

 「みんなと一緒に野球がしたい。だから、大東に進学する」。もともと雲南市大東町に住んでいたが、小学4年に上がるときに岡山県に引っ越し、中学まで過ごした。中学3年のときに参加した大東のオープンスクールで、現主将の野々村勇輔君(3年)らにそう宣言した。

 小学2年で、野々村君や遊撃手飯塚峻也君(3年)らと一緒に地元の少年団で野球を始めた。大東野球部は地元の野球少年の憧れだった。「将来は大東で一緒に野球やりたいな」と話すこともあった。

 岡山県でも野球を続けていたが、「野球を始めたときの仲間と高校野球をやりたい」という思いがあった。中学2年の2015年、夏の島根大会で準優勝した大東の決勝の試合をテレビで見て「ここで野球をやろう」と決めた。今は祖父母の家から、高校に通う。

 この日の試合は、ベンチからチームを勢いづけようと声を振り絞った。ピンチの場面では伝令としてマウンドに向かい、笑顔で選手を鼓舞した。野々村君は安部君について、「いつも本当に元気で、チームの元気の源です」と笑う。「最後まで一緒にやってくれて、『ありがとう』という言葉しかないです」

 悔しい初戦敗退だった。それでも、「高校野球は、すごく楽しかった。このチームでみんなと一緒に野球ができて本当に良かった」。大東で野球をやる。その決断は間違っていなかったと、笑顔が語っていた。(浪間新太)