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(20日、高校野球福岡大会 星琳7―6久留米商)

 九回表に2点を挙げて勝ち越した久留米商だが、その裏、1死二、三塁と一打で逆転サヨナラ負けが決まる大ピンチを背負った。

 迎えた3番打者が放った打球は、主将の中堅手、鳥巣淳経君(3年)の前に転がった。捕球後、めいっぱい腕を振って本塁に返球したが、間に合わなかった。

 鳥巣君の兄2人も久留米商の野球部員だった。八つ上の長兄は秋の県大会で準優勝、六つ上の次兄も春の九州大会で優勝した経験がある。だが2人とも夏の大会は5回戦敗退で甲子園出場はかなわなかった。

 鳥巣君は小学生のとき、2人が涙をのんだ夏の試合を球場で見て、「兄ちゃんたちが行けなかった甲子園に出る」と誓った。

 高2のとき、内野手から長兄と同じ中堅手に転向。長兄から高校生のころに使っていた外野手用のグラブを譲ってもらった。

 新チームが始動した昨秋、長兄と同じ主将を任された。「キャプテンとして、周りを見て守備位置の指示を出せ」とアドバイスを受けた。この日の試合も使い込んだ長兄のグラブを左手にはめ、主将としてチームを牽引(けんいん)した。

 打順は1番。リードオフマンとして活躍した次兄と同じだ。次兄からは「投手が動き始めた瞬間に下半身を踏み込み、タイミングを取るといい」と教わった。

 1点差をつけられ、後がない九回表。先頭の鳥巣君はタイミングをうまく取って3球目を中前打に。勢いづいたチームは2点を挙げ、一時逆転したが、その裏にひっくり返された。

 「兄ちゃんたちの分も背負って甲子園に行くと決めていたのに……」。鳥巣君は涙が止まらなかった。(布田一樹)