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 決勝としては30年ぶりに公立同士の対戦となった、第101回全国高校野球選手権長野大会は21日、飯山が延長十回、5―4で伊那弥生ケ丘にサヨナラ勝ちし、初めての甲子園出場を決めた。決勝進出は両校ともに初めてで、公立が長野代表となるのは、2010年の松本工以来、9年ぶり。長い歴史とともに地元で愛されてきた高校同士の対決とあって、会場の松本市野球場には多くのファンが詰めかけた。全国高校野球選手権大会は8月6日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する。

「とにかく次へ」振り抜いた 飯山・常田唯斗投手

 サヨナラ勝ちを決めたその瞬間、総立ちで沸くスタンドの歓声を背に、飯山の選手たちは、三塁側のベンチから一斉に駆け出した。拳を突き上げる選手、抱き合って喜ぶ選手――。緊張が一気にほぐれ、喜びを爆発させた。

 明暗を分けたのは、直前の一球だった。同点で迎えた延長十回裏2死一、三塁。打席に立ったのは投手の常田唯斗(ときだゆいと)〈2年〉。ピッチングは好調だったものの、打撃は今大会、これまで無安打だった。

 「とにかく、しっかりと球を狙おう。来た球を打てばいい」。そこで選択したのがバントの構え。目線をボールのコースに近づけることで球筋を見極め、確実に仕留めようとのアイデア。次打者はこの日、二塁打を放っている主将の大川陸(3年)。「とにかく次につなごう」とも意識した。

 3球目。直球がきた。その瞬間、少し浮いているように見えた。打撃に構えを切り替え、振り抜いた。打球は相手投手・富永悠斗(3年)のそばに勢いよく転がり、外野へ一直線。三塁走者・倉科勇雅(3年)が生還した。「公式戦で初のサヨナラヒット」(常田)。駆け寄ってきた仲間たちに、笑みがこぼれた。

 富永が狙っていたのは、外角ぎりぎりのストライク。すでに2ボールで、カウントを取りに行った球だった。次打者に大川が控えているのはわかっており、「四球はいけない」と力んでしまった。鋭い打球。捕球するのは無理だった。

 101回目の夏の大会。大勢の観客が固唾(かたず)をのんで見守った公立2校の好勝負は、飯山の勝利で幕を閉じた。

 豪雪地帯にある飯山。冬季はグラウンド練習はままならない。でも、だからこそボールを追える時間がうれしい。吉池拓弥監督は「『甲子園で勝つ』を目標にやってきた。まずは一勝したい」と声を弾ませた。(里見稔)