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 第101回全国高校野球選手権秋田大会は21日、秋田市のこまちスタジアムで決勝があった。秋田中央が中盤にリードを広げたが明桜が八回に一気に追いつき、夏の決勝では6年ぶりの延長戦へ。十一回に秋田中央がサヨナラ勝ちし、45年ぶり5回目の甲子園出場を決めた。最後まで一歩も譲らぬ熱戦を繰り広げた両校に、観客からあたたかい拍手が送られた。全国大会は8月6日に兵庫県の阪神甲子園球場で開幕する。

焦らず信じて決めた11回裏 秋田中央・斎藤光選手(3年)

 こまちスタジアムに詰めかけた約7千人が、その打球の行方を追った。秋田中央の4番の斎藤光選手(3年)は全力で一塁を回る。二塁に届く直前。明桜の中堅手が必死に伸ばしたグラブの先に、球がこぼれた。右手を突き上げ、歓喜する仲間たちの輪に加わった。

 「とにかく我慢した」。甲子園出場を自らの一打で決めた今、冬を思い返す。今年1月、打撃練習中に突然、左の手のひらを骨折した。重なる練習で疲労が蓄積していた。8針ほど縫う手術を受けた。

 「冬は一番成長する時期」。無駄にできる時間は少しもないが、ここで無理に練習をすれば今後に響く。監督の「我慢だ」という言葉を信じた。

 約2カ月後、練習に復帰。右手だけのティーバッティングを繰り返した。右手の力で、打球を右方向へ飛ばせるようになった。

 ただ、試合で結果が出なかった。「けがをしていたときよりも、復帰してからのほうが焦った」。我慢、我慢。努力が実る日をじっと待った。

 この試合も、我慢から始まった。第3打席まで併殺、三振、三振。第4打席で放った2点適時打は、直後の明桜の猛攻で振り出しに戻された。

 「焦る気持ちもありました」。それでも、「自分が焦っても何にもならない」と、一塁上で投手らに肩を回してみせた。そして、満塁のピンチを3度しのぎながら延長十一回の決勝打に希望をつないだ。

 我慢の先につかんだ次の舞台。「どんな展開になっても焦らずにやれば勝てる」。秋田大会を通じて自信を深めた。(野城千穂)