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 高校野球和歌山大会第10日の22日、第1試合で2回戦が終了した。第2試合で勝った箕島が8強一番乗りを決めた。雨が強まり、第3試合は中止。

亡き祖母へ「続けて良かった」 貴志川主将・吉田隆斗君

 8点を追う七回無死一、二塁、次打者席で腰を落とし、打順を待っていた貴志川の主将、吉田隆斗君(3年)。「一本つなげるよ」と空に誓った。吉田君の祖母は今年3月、2年ほどの闘病のすえ、がんで亡くなった。

 吉田君は「おばあちゃん子だった」。小学生の時から、野球に加え、体操や水泳、習字など多くの習い事をしてきた。仕事をしている両親に代わり、祖母が送り迎えをしてくれた。「お母さんより、おばあちゃんと一緒にいる時間の方が長かった」

 貴志川に入学が決まった時、趣味のダンスをやろうか、野球を続けようか悩んでいた。そんな時に「もう一回、隆斗が野球やってるところ見たいな」と祖母に言われ、野球を続ける決心がついた。昨夏の和歌山大会も車いすで球場に来てくれた。「応援してくれると、安心できた」

 今年3月に自宅で祖母をみとった時、右手を強く握ると、握り返してくれた。「ばあのぬくもりが、いまでも残っている」

 今大会の有田中央との初戦。延長十回にサヨナラ打を放つなど3安打4打点の活躍を見せた。「ばあが力をくれたんだと思います」

 七回は無死満塁で打席に立ったが、得点につなげられなかった。「一つでも多く勝って、少しでも長く野球をしている姿を見せてあげたかった」。見守っていたかのように試合終了後、雨が強まり、地がぬれた。

 自宅に帰って、手を合わせる。「いままで続けてきて良かったよ。ばあ、ありがとう」。卒業後は看護の学校に進学する予定だ。(西岡矩毅)