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 京都アニメーション放火殺人事件で2日に死亡が公表された渡辺美希子(わたなべみきこ)さん(35)=京都府井手町=は京アニの公式ツイッターによると、同社のプロ養成塾の美術・背景科講師を務めていた。

 先月12日にはアニメの仕事を目指す人に向けた渡辺さんのメッセージが京アニの公式ツイッターで配信されていた。渡辺さんは「絵が『今すぐ』に『必ず』上手(うま)くなる技術は教えられません。私自身も見つけられていないからです」と吐露した上で、「悩みながら、描いて下さい。今は真っ白でも行動があれば色が付きます。何もしなければ何も生まれません」と呼びかけた。最後は「私自身が仕事として絵を描き続けてきた10年分の試行錯誤を伝えたい」と結んでいた。

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 京都アニメーション放火殺人事件で2日に死亡が公表された笠間結花(かさまゆか)さん(22)=京都市伏見区=と中学1年生の時に同じクラスだった女性(23)は、授業の合間の休み時間に「絵しりとり」をしたのをよく覚えている。リンゴ、ゴリラ……。「その絵がすごくうまくてびっくりした。絵の話をする時はとても楽しそうだった」と話す。

 成人式で顔を合わせたのが、最後となった。芸術系の大学に進んだのは聞いていたが、京アニに就職したのは事件後に知った。「私も大学を出たばかりの新入社員。『新しく仕事をがんばる』という時に、こんな事件に巻き込まれて悔しいだろうなと思う」

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 死亡が公表された大村勇貴さん(23)=京都府宇治市=が今年3月に卒業した常葉大学(静岡県)は同日、「将来ある優秀な卒業生を亡くしましたことに深い悲しみを感じております。ご逝去を悼み、謹んでご冥福をお祈りいたします」とのコメントを出した。

 大村さんは造形学部デジタル表現デザインコースに在籍していた。第101回二科展デザイン部門で奨励賞を受賞したことが2016年8月に大学ホームページで紹介されていた。

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 京都アニメーション放火殺人事件で2日に死亡が公表された津田幸恵(つださちえ)さん(41)=京都市伏見区=は、色彩の調整をする担当だった。2日に取材に応じた父の伸一さん(69)=兵庫県加古川市=は、忙しい仕事の合間に顔を見せ、生き生きと仕事の話をする娘の姿を思い出す。「仕事が性に合っていたんでしょう。それがこんなことで終わっちゃって」と言葉を詰まらせた。

 事件直後から、ニュースで現場の凄惨(せいさん)な状況を見て、娘の死を覚悟していたつもりだった。しかし7月24日、警察からDNA型鑑定で身元が特定されたことを伝えられた時は、やはりこたえた。「100%だめだと思っていたのが、120%になってしまった」

 娘がいなくなった後、初めて知ったことがあった。自宅から見つかった10年前の日記を読むと、悩みや自身を奮い立たせるための言葉が小さい文字で書かれていた。「しんどい時期もあったんだな、と知った。でも一生懸命続けたのは、アニメがやっぱり好きだったんでしょう」

 自宅に東京から駆けつけてくれる友人がいたことにも驚いた。「誰とでも仲良くして、そういうところが好きだった。自分の思うように育ってくれて」。そう言ってハンカチで目を押さえた。(岩田恵実)