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 第101回全国高校野球選手権愛媛大会は22日、2回戦3試合が西条市ひうち球場であった。夏の愛媛大会で初めてとなるタイブレークにもつれこんだ第2試合は、今治東が制した。坊っちゃんスタジアムでの3試合は雨のため順延。順延の影響で、26、27日に2試合ずつ予定されていた準々決勝は、27日に一日4試合を行うことになった。

千羽鶴の思い マウンドで力に 吉田 森口大雅君(3年)

 四回表、吉田のエース森口大雅君(3年)は2死満塁のピンチを迎えた。2点のリードを許し、1点もやりたくない場面。「開き直っていくしかない。バックを信じよう」。気持ちを込めて投げた高めの直球で、右飛に打ち取った。これがチームに勢いをつけた。直後の四回裏と続く五回裏、1点ずつを返し、同点に追いついた。

 「今年は去年よりも勝って地域を元気にしたい」。そんな思いで今大会に臨んでいる。

 昨夏の西日本豪雨で、学校のある宇和島市吉田町は甚大な被害を受けた。森口君も7月7日朝、遊びに行った友人宅で土砂崩れに巻き込まれた。右足を負傷したが、愛媛大会の開会式では背番号「1」をつけ、元気よく行進。1回戦を突破し、地元は沸いた。

 あれから1年。復興の兆しを実感する一方、災害前に野球部が使っていた吉田球場は、土砂の置き場になって今も使えないままだ。

 災害後は学校近くの「第1グラウンド」を他の部活と共有。浸水して使えなかった、吉田球場近くの「第2グラウンド」が今春、整備され、練習場は広くなった。シートノックや打撃練習、ブルペンでの投球練習ができるようになった。

 ある日、カラフルな千羽鶴が野球部のもとに届いた。「おかえりなさい」という手紙が添えられていた。差出人は不明だが、「グラウンドから声が聞こえてきてうれしい」とあった。「きっと近くの人。そうやって思ってくれる人がいると分かってうれしかった」と森口君。感謝の気持ちで練習に励んだ。

 この日、千羽鶴はベンチ内に飾られていた。森口君は地元の応援を感じながら投げ続けた。延長十二回まで無失点に抑え、後続にマウンドをゆずった。

 タイブレークにもつれこむ熱戦になったが、最後は力尽きた。昨年と同じ、2回戦敗退。試合後、森口君は「力が及ばず地域の人には申し訳ない」。それでも、「いいゲームができて楽しかったです」。涙の残る顔で笑った。(寺田実穂子)