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転勤族の「へぇ」

 その土地では当たり前の慣習。でも、引っ越してきた者には驚愕(きょうがく)の連続……。不思議なもので、当初は違和感を覚えた光景も、いつしか感嘆や得心へと変わっていくのです。転勤族でもある新聞記者が、熊本に引っ越してきた最初の頃に感じた「へぇ」を紹介します。

 「熊本は車の運転が難しい」。今年4月に熊本総局に着任した記者の私を含めて、多くの転勤者がそう言う。

 要因のひとつは熊本市内を走る市電だ。レトロな車両も走る街の風景は味わい深いけれど、軌道敷を横切って右折する際には、対向車だけでなく前後からの市電の接近にも目を配る必要があって気が抜けない。

 交差点の信号機には、直進や右折、左折ができることを示す青い矢印に加えて、黄色い矢印もあって、「なんだこれは」と、とまどった。路面電車向けであることは、自動車学校で教わって以来、記憶の片隅に追いやられていた。

 さらに気が抜けないのは、市電と並行する「電車通り」と呼ばれる県道の車線の狭さだ。熊本市によると、一部区間(約6キロ)は車線の幅員が約2・75メートル。市内を走る路線バスの多くは車幅が約2・5メートルあるため、ぼんやりしていると、並走するバスとドアミラーが接触しそうになる。

 私は今日も、緊張しながらハンドルを握っている。(井岡諒)