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(22日、高校野球茨城大会 常磐大6―5常総学院)

 九回に2死から逆転され、1点を追う展開となった常総学院の裏の攻撃。2死二、三塁の好機で、同校歴代最多の本塁打記録を持つ菊田拡和君(3年)に打順が回ってきた。ベンチから「お前が打ってこい」と送り出され、打席でバットをセンター方向に向けて3回まわした。

 2―2からの5球目、真ん中高めの直球を捉え、打球はセンター方向へ。しかし、ひと伸び足りず、中堅手のグラブに収まり甲子園への夢が断たれた。

 選抜出場をかけた昨秋の関東大会では、本塁打を意識するあまり自分のスイングを見失った。低めの変化球に手を出し、好機で凡退し、チームもサヨナラ負けを喫した。

 佐々木力監督から「ミートを意識して、コンパクトに」と助言を受けた。次につなげる打撃を心がけ、練習着の左胸には「チームのために」と書き込んだ。

 毎朝6時半からグラウンドに出て、他の部員にバッティングピッチャーをしてもらい、変化球に対応できるように練習を積んだ。

 チームのためを意識して打席に入るようになってから、不思議と本塁打を量産するようになった。この日の第3打席では、練習を積んできた外角のスライダーを捉え、高校通算58号を放った。

 1年生から試合に出場。毎年優勝候補に挙げられながらも、昨夏の決勝では自身の2失策もあり、甲子園出場は果たせず。それだけに最後の夏にかけてきた。

 菊田君は「メンバーに入っていない部員も練習を手伝ってくれた。最後の打者になってしまったことが申し訳ない」と涙ぐんだ。(小島弘之)