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(23日、高校野球山梨大会 東海大甲府6―0富士学苑)

 最後まで笑顔でやりきった。

 八回裏2死二、三塁、先発して七回途中まで投げた富士学苑のエース小林亜依斗投手(3年)が、継投した武藤魁宗主将(3年)に代わり再びマウンドに立った。

 「全力でいけ!」。渡辺雄之監督が気合を入れる。0―5。西室幸祐捕手(2年)に向かい、右手人さし指を頰にあてるしぐさをした。「笑顔を忘れるな」のメッセージだった。

 昨夏の大会終了後に渡辺監督が就任し、三塁手から投手に指名された。投手の経験はなく、背番号1で臨んだ8月の地区大会では四球を連発。何を投げても打たれた。監督から「お前がエースナンバーをつけることはない」と言われ、本気になった。

 投げ込み、走り込みは常に全力。限界を決めず、自らを追い込んだ。春の県大会で8強入りしたが満足しなかった。投手経験が長い武藤主将からアドバイスを受けながら、「攻めるピッチング」を追求した。

 新チーム結成時から、選手たちは練習の反省や目標を「野球ノート」に毎日書いてきた。準決勝の前日は「どんなピンチがきても笑顔」。朝、見返してから試合に臨んだ。

 自信のあったスライダーを打たれ、悔しさが残った。それでも、監督の言葉を力に変えた日々を振り返り、「あの言葉があったからここまで成長できた」とすがすがしい笑顔をみせた。(玉木祥子)