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(23日、高校野球山口大会 高川学園10―5徳山商工)

 二回までに6失点。昨秋と、春の県大会を制した高川学園のやまない猛攻に、徳山商工の捕手、吉本昇太君(3年)は内心「終わった」と観念した。先発の阿部夏樹君(2年)は二回途中で降板。「阿部があんなに打たれるなんて」。コールド負けが頭をよぎった。

 鉄壁だった高川学園の守備に異変が起きたのは三回。激しさを増す雨の中、河野颯(はやて)君(1年)の制球が突然崩れた。連続四球の末に押し出しで1点が転がり込む。打順が回ってきた。

 「必ず走者をかえす」。気合を入れて振り抜いた打球は詰まりながらも右翼手の手前に。反撃の火ぶたを切る一打だった。

 18日に予定されていたこの日の対戦は、台風や雨の影響で延びに延びた。徳山大の雨天練習場を借り、十分に練習は積んできた。不安は少しもなかったが、早く試合がしたいという気負いが先に立ち、立ち上がりのピンチを招いたのかもしれない。

 だが、三回に3点を返すと流れは徳山商工へ。4―6で迎えた六回の打席。ツーストライクと追い込まれた後、真ん中に甘く入った変化球を逃さなかった。打球は左前に落ち、三塁走者が生還。1点差に迫る。沸き立つスタンド。「勝てる」と手応えをつかんだ。

 好投していた2番手の加藤誠人君(3年)が終盤につかまり、「金星」はあげられなかった。それでも、吉本君に悔いはない。攻めている時は威勢がいいが、攻められると声が出ない。そんなチームが「王者」を相手にここまで食い下がったからだ。

 打っては5打数4安打。四番の務めも果たしたつもりだ。「自分としては70~80点の出来」と吉本君。

 この夏は競り負けた。来夏こそ競り勝て――。後輩たちに伝えるつもりだ。(三沢敦)