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 「京都アニメーション」第1スタジオが放火されて34人が死亡、34人が重軽傷を負った大事件を受け、京都府警や会社は被害者の支援を始めた。犠牲者の身元特定が難航するなか、支えるべき家族は全国にいるとみられ、状況に応じたこまやかなケアが求められている。

 京都府警は放火事件の発生直後から「被害者支援チーム」を発足させ、現在も約100人態勢で安否不明者の家族や負傷者らの支援にあたっている。

 メンバーの大半は、犯罪や交通事故に巻き込まれた人のケアにあたるため、専門的な研修を受けてきた「指定被害者支援要員」。

 警務課によると、支援内容は多岐にわたり、安否不明者の家族や入院中の負傷者の付き添い▽被害者家族からの問い合わせへの対応▽事情聴取への同席▽犠牲者の身元特定に向けたDNA型鑑定の案内など。

 支援チームが特に大切にしているのが「被害者や家族の気持ちやニーズに寄り添うこと」だという。負傷者に精神的な不安があれば相談にのり、遠方から駆けつけた家族の宿泊先探しや送迎、食事の調達を手伝うこともある。

 入院中の被害者の要望に応じ、事件発生から連日泊まり込みで付き添い、支援を続ける職員もいる。警務課の担当者は「自分が被害に遭ったという気持ちで、被害者に寄り添って丁寧に対応するよう伝えている」と話す。

 一方、京都アニメーションも、安否不明者の家族や従業員らの支援に取り組んでいる。同社の代理人を務める桶田(おけだ)大介弁護士は「家族や親族に書面、口頭、電話、すべての方法で状況の説明と様々なケアに努めている」と話す。

 多くの同僚を失った従業員の心のケアも課題だ。複数の専門家を社内に常駐させ、社員が相談できる態勢を取り、「全面的なバックアップに努めている」と言う。(川村貴大、吉村治彦)

識者「早期のケア重要」

 犯罪被害者支援に詳しい元常磐大学長の諸沢(もろさわ)英道(ひでみち)さんは「支援は最初の1週間が重要。ケアを始めるのが遅れるほど、心身の変調が連鎖反応を起こす。家族の安否がわからない方々が、この間に適切な支援を受けられたか心配」と話す。

 突然家族を失うと、食事や睡眠が思うようにとれなくなり、日常生活が困難になっていく人もいる。「適切なカウンセリングや生活支援を受けられなければ、その後PTSD(心的外傷後ストレス障害)になる」という。

 京都アニメーションの被害者は京都府外の出身者も多く、家族は全国にいる。諸沢さんは「これからの日常生活の困難に途切れなく対応するのは、地元自治体。事件が起きた自治体と連携して支援態勢を築く必要がある」と指摘する。

 各自治体で犯罪被害者を支援す…

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