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(24日、高校野球山梨大会 山梨学院5―4東海大甲府)

 思わず身震いした。1点を追う九回2死走者なし。東海大甲府の背番号1、加藤匠主将(3年)は球場を包み込むような大声援を受け、打席に入った。

 3球目。直球を迷わず振った。鋭い当たりはしかし、遊撃手の正面に。最後の打者となり、喜ぶ山梨学院の選手たちのそばで両手をひざにつき、しばらく動けなかった。

 「甲子園に一番近い」。東海大甲府に進学を決めた理由だ。中学生だった2014年と15年の夏、16年春と甲子園に出場していた。

 進学後、あと一歩で甲子園を逃し続けた。

 17年夏は決勝で山梨学院に敗れ、18年夏は準決勝で敗退した。主将となった18年秋は県大会で優勝し、地元甲府市である関東大会で1勝すれば「春の選抜有力」という好条件だったのに初戦で敗れた。

 「背番号1」を託され、迎えた集大成の今大会。足を踏み出す位置を変え、直球は伸びを増した。納得できる投球で勝ち上がった。

 苦手なコースや球種を頭にたたき込み臨んだ山梨学院との決勝。立ち上がりに先制2点本塁打を浴び、捕手が負傷交代するなど苦しい展開となった。グラブに刺繡(ししゅう)した「平常心」の言葉を胸に粘り強く投げ、試合をつくった。

 完投し、1点差の敗戦。「あと一歩、最後の執念が自分たちに足りなかった」と振り返った。最後は「全てを出し切った負けだった」と自らに言い聞かすように、すがすがしい表情を見せた。(野口憲太)