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 第101回全国高校野球選手権岩手大会は24日、県営野球場で準決勝2試合があった。花巻東は四回、黒沢尻工に一挙5得点を許したものの、「逆転の花巻東」の底力で試合をひっくり返した。大船渡は一関工を相手に、先発の佐々木朗希投手が完封し勝利した。甲子園への切符を手にするのは、連覇がかかる花巻東か、35年ぶりの優勝をめざす大船渡か。

35年前の父まであと1勝 大船渡・木下大洋選手

 35年前に甲子園に出た父に追いつくまで、あと1勝――。

 大船渡の木下大洋選手(3年)は今大会、これまでの4試合で18打数6安打の成績。中軸の打者としては思うような結果が出せずに苦しんでいた。だが、決勝進出をかけた大事な試合で打点2を記録し、自身とチームに勢いをもたらした。

 三回裏、無死一、二塁の場面で中前適時打を放ち貴重な1点を追加した。八回には内野安打で出塁し、仲間の犠飛で生還した。「結果が出てうれしかった」とホッとした表情で振り返る。

 木下選手の父清吾さんは、35年前に大船渡が夏の甲子園に出場した時の三塁手だった。「大船渡旋風」と呼ばれた当時のビデオを、木下選手は小学生時代に繰り返し見ていた。

 そんな父が小中学校の9年間、放課後にトスバッティングの練習に付き合ってくれた。小学生の時に東日本大震災が発生。グラウンドには仮設住宅が並び、限られた条件のなかで、父と練習を重ねてきた。「あの時の練習が今の自分の強打にいきているんです」

 スタンドからはいつも父の大きな声援が聞こえてくる。恥ずかしく感じながらも、力をもらっている。

 今年の大船渡を「投手が相手の攻撃を抑え、これに応えるように打撃陣が点を重ねられるチーム。みんなと甲子園に行きたい」と話す木下選手。ついに決勝戦まできた。「甲子園に行って父を超える。好機で打ってチームに貢献したい」と笑顔を見せた。(御船紗子)