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 第101回全国高校野球選手権静岡大会第7日の24日、4球場で4回戦8試合があり、8強が決まった。第2シードの加藤学園はオイスカに、第5シードの浜松西は東海大静岡翔洋に敗れ、シード8校のうち残ったのは3校のみ。駿河総合とオイスカは初の8強入りを果たした。準々決勝4試合は26日、草薙と清水庵原で行われ、4強が決まる。

目の大けが転機、分析担当 韮山の背番号20・清野太壱君

 「甘い球は少ないから、行けると思ったら初球からいけ」。韮山のベンチでメガネを掛け、打席を迎える選手としきりに話すのは背番号20の清野太壱君(3年)。相手戦力の分析担当だ。

 一塁手だった1年生の8月、チームの紅白戦で死球が左目に当たり、出血。約半年後、視界がゆがみ、徐々に見えない部分が増えてきた。近くの病院で失明すると言われた。母の佳恵さん(43)といくつもの病院を訪ね歩き、神奈川県小田原市の病院で手術に成功。だが、視力が落ちている上に、ゆがみは消えなかった。

 チームを支えたかった。マネジャーになる道もあったが「ユニホームを着られなくなったら野球をやめることになる」。2年生の5月、選手コーチになることに。先輩たちが分担していた分析係を、一手に引き受けた。分析も自分なりに工夫。相手投手の配球の傾向、打手の特徴をチャートにまとめ、試合で、投手や守備位置に反映させる。

 さらに試合中に短時間で相手の配球を読み、攻撃に生かす能力が評価され、今春から背番号をもらった。「3年生にもベンチに入れなかった選手が何人もいる。彼らの分もチームの役に立ちたかった」

 大会中には、ベンチには入れなかった一人、浜村麟太郎君(3年)と泊まり込みで相手校の試合の録画を見て分析。この日の試合では静岡の主砲・斎藤来音君(同)の打撃の特徴を読み、左翼の守備位置を修正。狙い通り左翼手・大川玲於君(同)の正面に打球が飛んだ。

 しかし、「打者一巡目はよかったが二巡目からこちらの狙いの裏をかかれた」(清野君)と三回に5失点。「これが実力。でも、自分たちにできることをやりきりました」

 試合後の更衣室で泣きじゃくり、動けなくなっている仲間に清野君は言った。「よくやったよ。ヒット8本打ったじゃん」。塩谷和史主将(同)は「太壱がけがをしてどうなるかと思ったけど、16強まで来られたのは太壱のおかげです」。=浜松(宮川純一)