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(24日、高校野球大分大会 大分商8―7情報科学)

 大分大会準々決勝。2点を追う大分商の九回の攻撃中だった。沸き立つベンチの中で、2年生エースの川瀬堅斗だけが、タオルに顔をうずめていた。

 がっちりとした体格を持つ右腕は身長182センチ、体重78キロ。最速は147キロだ。兄は同校OBでプロ野球ソフトバンクで内野手として奮闘する晃(ひかる)。「晃からは『頑張れ』としか言われない」と笑う。2年生の夏で背番号「1」を託され、3回戦では日本文理大付を相手に完封。期待に応えてみせた。

 だが、この日の情報科学戦は、期待を重圧に感じていた。「気持ちが上がりすぎて、冷静になれなくて……」。チームを勝たせようと思えば思うほど、自慢の直球が思ったところにいかない。高めに抜けた球を痛打され、七回までに被安打11。5―5で迎えた八回は3四球を与えて1死満塁のピンチを招き、マウンドを譲った。

 うつむき加減に左翼の守備にまわったが、渡辺監督は「とても守れる雰囲気じゃない」。2死後にベンチに下げた。その後、2点を勝ち越された。

 九回、川瀬はベンチの最前列で祈っていた。そんな2年生を仲間が救う。先頭から4連打で3得点し、逆転に成功。川瀬は「本当にうれしくて……。うれし涙と悔し涙が混ざっていました」。周りを気にせず泣きじゃくった。

 準決勝進出を決め、渡辺監督は苦笑いで言った。「あいつが泣くの初めて見ました」。川瀬は少し恥ずかしそうだった。「本当にうれしかったので。仲間には感謝しかない。次は恩返しをしたい」(小俣勇貴