昌平の注目左腕「こいつとバッテリーを」高め合った2人

高絢実
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 高校野球埼玉大会は4強が出そろった。25日は準々決勝4試合があり、春夏連続甲子園を狙う春日部共栄が昌平を破り、2年ぶりの準決勝進出。花咲徳栄と山村学園もコールド勝ち。ノーシードの大宮東はDシードの市川越を下した。準決勝2試合は27日、県営大宮球場で行われる。

同じ学校進み高め合った 昌平 米山投手・佐藤捕手

 「お前の3年間を全部ぶつけてくれ」

 4点をリードされた九回表。2死二塁のピンチで四球を与えた昌平のエース米山魁乙投手(3年)に、佐藤克樹捕手(同)が駆け寄り、げきを飛ばした。全力で腕を振った直球で、春日部共栄の打者を二飛に打ち取ってみせた。

 「こいつとバッテリーを組みたい」。中学3年生の時、お互いに別のチームでプレーしていた姿を見て、ひかれ合った。「キャッチングが良くて、『投手への思い』も感じられた」と米山君。佐藤君も「1人だけレベルが違って、球を受けたいと思っていた」。昌平に進むことを決めていた米山君が、佐藤君を誘った。

 試合中もイニングごとにお互いの考えを話し合い、精度を高めた。ぶつかり合ったり、かみ合わなかったりしたこともあったが、そのたびに腹を割り、前に進んできた。

 「米山の良いところを全部引き出したい」と今大会に挑んだ佐藤君。その言葉通り、米山君ら投手陣の好投で5回戦までの4試合で3失点だったが、春日部共栄に6点を奪われた。

 この日、3点差となった四回2死一塁からの登板。最初の打者を三塁ライナーに抑えたが、「気持ちが出すぎていた」といい、その後は四球も与えてしまった。それでも春日部共栄の打者を打ち取るたび、マウンドでほえた。

 プロ注目左腕の最後の試合は107球。「自分の最高の直球を佐藤のミットに投げられて、満足です」。佐藤君も「あいつらしく思い切り投げてくれた」と言った。「お前を選んでよかった」「ありがとう」。幕切れの直後、2人はそう声を掛け合った。

=県営大宮(高絢実)

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