仙台南、4強入りの「歴史塗り替え」ならず 夢は後輩に
高校野球宮城大会12日目の25日、準々決勝4試合があり、ベスト4が決まった。仙台育英と柴田は昨年に続く4強入り。東北学院榴ケ岡は4年ぶり、東北は2年ぶりに準決勝に進んだ。東北生文大と仙台南は初の4強入りはかなわず、シードの聖和学園も姿を消した。準決勝は27日。
「歴史作る」夢は後輩へ 仙台南・横山蒼天君
一回表、先制した仙台南のスタンドは黄色いメガホンが波打った。主将の横山蒼天(そうま)君(3年)は「今日こそは打つ。流れを作る」と、バットを握る手に力を込めた。2死一、二塁、狙っていた外角の直球が6球目に来た。振り抜いた打球は右前に抜け、2点目。ベンチの仲間に向け、右の拳をつきだした。
「歴史を作ろう」。主将になった昨年秋から、そう繰り返してきた。夏の宮城大会で、仙台南は1998年に8強に入って以来、4回戦の壁にはね返されてきた。「4強になって歴史を塗り替える」と、仲間とジムに通って体重を5キロ増やし、「1日1千本」の目標を掲げてみんなで毎日バットを振り込んだ。
そのかいがあって、今大会の3試合でチームは計26安打を放った。だが、レギュラーの野手の中でただ一人、横山君に安打が出ない。「打ってチームを引っ張らなきゃ」と思えば思うほど、バットが空を切った。主将として声を出しても、胸に重いものがつかえた。
それが初安打で勢いづき、次の打席も中前安打。ただ、東北打線はさらに上を行った。捕手として3投手をリードしたが、球威で押し込もうとした打者にははじき返され、手を出してほしい球は見送られた。
七回表、コールド負けまであと1死。ベンチから打席に「お前ならいけるから」と声を振り絞ったが、そのまま試合は終わった。
最後に主将らしさを出すことができ、「できることはやりきった」と思っている。でもやっぱり悔しい。「来年の夏こそ、後輩たちが歴史を作るから」。そう言って後を託した。(窪小谷菜月)