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 東日本大震災で被災した福島県富岡町の富岡漁港が8年ぶりに再開し、26日に帰港式が開かれた。これで県内に10カ所ある漁港が全て利用できるようになった。

 午前10時すぎから、大漁旗で飾られた5隻の漁船が列を作り、港内を回った。相馬双葉漁協の立谷寛治組合長(67)は「待ちに待った帰港式はうれしい限り。漁業振興につなげたい」と期待を込めた。

 富岡漁港は13隻が拠点を置く小さな港だったが、津波で岸壁や防波堤が壊れ、東京電力福島第一原発事故の影響で使用できなくなった。しかし、2年前に避難指示が解除され、復旧工事も進んで、町によると8隻が避難先の漁港から戻る予定になった。

 漁師は手放しで喜んでいるわけではない。福島では第一原発の半径10キロ圏を除く海域で試験操業を続けているが、漁が可能な日は限られ、昨年度の水揚げ量は震災前の15%ほど。第一原発から南に約10キロの富岡漁港は、震災前にあった市場もなくなった。

 第18海寿丸(6・6トン)で帰港式に参加した漁師の佐藤重男さん(70)は「喜びは半分、いや3割ぐらいだな。自粛の範囲が狭くなり、早く富岡で漁ができるようになれば」と話した。(床並浩一、柳沼広幸)