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(25日、高校野球宮城大会 仙台育英3―0仙台)

 九回表のマウンドに立った時、仙台の鎌田健太郎君(2年)はすでに163球を放っていた。2死一塁まで追い込んだが、疲れて制球が定まらない。連続四球で満塁のピンチを招いた。

 「俺を終わらせるなよ」。前の試合でけがをして先発を外れていた主将の加藤瑶大君(3年)が、守備のタイムにベンチから駆けつけ笑わせてくれた。「緊張がとれた」。次打者を三ゴロに打ち取り、笑顔で拳を握りしめた。

 夏はこれまで登板の機会がなかった。チームが勝ちを重ねる中、貢献できない自分にモヤモヤしていた。前日に監督から先発を告げられ驚いたが、先輩たちから「困ったら俺たちを見ろ」と言われ、覚悟を決めた。

 三回には先頭打者に本塁打を浴び、制球の乱れもあって3点を奪われた。だが「後ろには先輩たちがついている」と、残りの体力は顧みずに得意のスライダーを全力で投げ続けた。

 公式戦初完投ながら、仙台育英の強力打線を6安打に抑え、加藤君は「ここ最近で一番の投球」とたたえた。鎌田君も「来年こそは、先輩たちの分も甲子園に」と手応えをつかんだ。ただ、与えた四死球は12。「まずは秋まで下半身強化」と気を引き締めた。(山本逸生)