米司法省、連邦レベルの死刑執行を再開へ 16年ぶり
ニューヨーク=藤原学思
米司法省は25日、連邦レベルでの死刑執行を16年ぶりに再開すると発表した。連邦地裁で死刑判決を受けた5人について、12月から来年1月にかけて執行するという。犯罪に厳しく対処する姿勢を見せているトランプ大統領の意向を反映したものとみられる。
米国では大半の刑事事件が州レベルの裁判所で審議されるが、発生場所が州をまたいだり、連邦捜査局(FBI)が捜査したりする場合、連邦裁判所の管轄となる。死刑制度は連邦レベルのほか29州にもあり、4月時点の死刑囚2673人のうち、61人が連邦政府の管轄となっている。
連邦レベルの死刑執行では以前、意識を失わせ、まひさせ、心停止させるという3段階の薬剤を投与する手法がとられていた。だが、残虐な刑罰を禁じる憲法に違反すると指摘する訴訟が起こされるなどしたため、執行は長らく停止。司法省は、州レベルで広く使用されている麻酔薬だけを用いるよう運用を変えることで、再開に踏み切った。
トランプ氏は死刑の再開やその意義について度々言及しており、司法省の判断はその意向に沿ったものとなった。バー司法長官は、「我々は被害者や遺族に対し、司法制度により課された判決を前に進める義務を負っている」としている。(ニューヨーク=藤原学思)
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