[PR]

(26日、高校野球三重大会 海星6―2菰野)

 たとえピンチでも、マネジャーは常に笑顔。4点差で迎えた九回表、菰野高校のベンチでは、マネジャーの萩美空(みく)さん(3年)が、グラウンドに立つ選手に笑顔を送り続けていた。母千夏さん(39)の教えを胸に――。

 小学生のころ、甲子園で菰野の奮闘を見て、娘は高校野球に魅せられた。母に話したところ、母もかつては菰野のマネジャーだった。そのときから、娘は菰野へ進むことを決めた。「つらい仕事も多い。途中でやめるのが一番だめ」と母は忠告したが、決意は固かった。

 「声がそっくりで間違える」。就任30年を超える戸田直光監督は驚いた。菰野のマネジャーは今、娘だけ。入部したころから先輩もおらず、選手を観察しながら手探りで仕事を見つける日々が続いた。飲み物の用意や相談相手など、多岐に渡る選手のサポートを、今では一手に引き受ける。

 行き詰まったときは母に相談した。マネジャーの心得も母から教わった。母の時代、夏はベスト8が最高。選手たちだけでなく、母の夢でもあった甲子園出場をどうしてもかなえたかった。

 「最後の打球が中堅手のグローブに入って試合が終わる瞬間まで、逆転を信じていました」。娘は教えを最後まで守った。でも、甲子園には届かなかった。

 「まだ終わりたくない」。試合後、涙が止まらない娘を母は優しく抱き締めた。

 そして、言った。

 「ここまで連れてきてくれてありがとう。選手にもしっかり感謝しなさい」

 聞いた娘は、涙をぬぐって前を向いた。

 「選手がいなかったらマネジャーもいない。マネジャーをやらせてくれてありがとうと選手に言いたいです」。夏は終わったが、娘はこれからも、母とともに菰野を応援し続ける。(小松万希子)